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太陽光設備の施工ミスで発電ロス、賠償額の算出方法は?(page 4)

<第85回>近時の裁判例解説を踏まえた具体的な相談事案への対応について

2022/05/24 05:00
匠総合法律事務所 弁護士・秋野卓生、弁護士・角谷昌彦
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木陰で起きた発電ロスでの判例では?

 一方で、本件の場合には、配線施工ミスが存在しなければ、その系統の太陽光発電設備が発電をしたこと自体は確実視することが可能であり、あとは、具体的な発電量に関し、確実視できる数量をどのように算出するかという点が問題となっています。この点が、東京地裁・平成25年12月24日判決、東京地裁・令和3年3月18日判決と大きく異なる点といえます。

 そして、確実視できる発電量の算出方法に関しては、このコラムの第81回でご紹介しました東京高裁・令和3年9月8日判決の考え方が参考となります。

 この事案では、太陽光発電設備を設置した隣地にある樹木の日影の影響で、実際の発電量が予想発電量に満たなかったことが問題となり、太陽光発電設備の施工者に対して、損害賠償請求がなされました。

 裁判所は、隣地の樹木群の日影による影響を受けた太陽光パネルの範囲を、設備全体の合計216枚の太陽光パネルのうち、6枚と認定し、平成29年4月から平成30年3月までの間、これらの6枚の太陽光パネルについては、発電量を実質的にゼロだったと考えることを相当であるとしました。その上で、当該年度における設備全体としての発電量を210で割り、太陽光パネル1枚当たりの発電量を概算しました。そして、隣地の樹木群が存在しなければ、太陽光パネル1枚当たりの発電量×6枚分の発電量・売電収入が得られたと推認されるとして、差額分を損害と認めました。

 これは、発電量の減少分は、日影が存在しなかった場合に、確実に取得できたであろう発電量と等しいという考え方に基づいて、設備全体に占める日影の影響を受けた太陽光パネルの割合から発電量の減少分を算定したものであり、この点で、東京高裁・令和3年9月8日判決は、「日影の影響を受けた太陽光パネルについても、日影が存在しなければ、他の太陽光パネルと同等の発電をしたことは確実といってよい」ことを前提にしていると推察されます。

木陰による発電損失を算定した判例が参考になる(写真は記事中の裁判とは関係ありません)
木陰による発電損失を算定した判例が参考になる(写真は記事中の裁判とは関係ありません)
(出所:日経BP)
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