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「メガソーラー裁判」を読み解く、地裁の判断はなぜ覆ったのか?(後半)(page 4)

<第76回>東京高裁・伊豆高原メガソーラーに関する判決の解説

2021/07/07 12:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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条例適用と裁量判断の関係性について

 なお、本件が「現に」「事業者に着手している者」とはいえないことを前提に、このような事項を上記裁量的判断において考慮することは認められるしょうか。高裁は、申請の主体が「公益性のある事業又は活動を行う者」にあたるか否かの判断に際し、このような事項を考慮することを認めています。

 この点について、条例に違反するような態様で事業を進める事業者に対し、不利な評価がなされる等、事実上何らかの不利益的な取扱いを受けかねないことは否定できません。

 しかし、本件で問題となる条例は「伊東市美しい景観等と太陽光発電設備設置事業との調和に関する条例」であり、同条例は「美しい景観、豊かな自然環境及び市民の安全・安心な生活環境と太陽光発電設備設置事業と調和を図る」ことを目的とするものであり、河川管理等を目的とする河川の敷地占有許可処分とは目的・趣旨も異なるものです。

 そして同条例が保護しようとする利益は上述の通り、河川法上の不許可処分における裁量において考慮すべきでないものですから、仮に「着手」が認められないとしても、かかる事項をもって裁量の適否を判断するのは適切でないと考えられます。

伊豆高原メガソーラーパークの建設現場事務所
(出所:日経BP)
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