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メガソーラーの工期が遅れました。どんな場合に施工者の責任が問われますか?(page 4)

<第53回>太陽光発電所の建設における「工期遅延」のトラブル

2019/07/24 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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許認可の取得が遅れた場合は?

 では、工事を施工するにあたり必要な行政との折衝や、行政からの許可の取得に、想定外の時間を要したことにより、やむなく、一定期間、工事着工を遅らせなければならない場合など、EPC事業者にも、SPC・アセットマネージャーにも想定されなかったような事由が原因で、工期遅延が生じた場合の責任はどうなるでしょうか。

 この点について、建設工事の事案ではありませんが、大阪地判昭和51年12月13日判決が参考になります。この裁判例は、医療器具の製造委託において、受託者側が約定の納期を徒過したため、委託者が委託契約を解除した上、得られたはずの利益を、損害賠償として求めた事案です。この事案では、納期遅延の原因は、当該医療器具の製造に必要な薬事法所定の手続に予想外の長時間を要したことなどにありました。

 一度、両当事者において、手続きに時間を要したことを理由として、納期の延期を合意していましたが、更にその延期後の納期も手続に時間を要したために徒過することになってしまったため、委託者は、受託者に当該原因についての過失があったと主張しました。しかし、裁判所は、仮に被告に過失があったとしても、一旦延期の合意がなされている以上、被告の責めに帰すべき事由には当たらないと判断しました。

 当事者の責めに帰することのできない事由を原因とする、工期遅延などの債務不履行事案に関して、天災など明らかにEPC事業者の問題とならないような場合を除いては、この種の事例で刊行物に載っているものは、あまり見かけません。そのため、この裁判例は、EPC事業者にも、SPC・アセットマネージャーにも想定されなかったような事由が原因で、工期遅延が生じた場合であっても、EPC側が責任を負うことになってしまうのか、という点を検討する際の判断材料の一つとして、参考になるものと思われます。

メガソーラー建設では、悪天候や許認可の遅れなどで工期が遅れることも多い
(出所:日経BP、写真はイメージで記事内容と直接、関連しません)
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