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メガソーラーの工期が遅れました。どんな場合に施工者の責任が問われますか?(page 5)

<第53回>太陽光発電所の建設における「工期遅延」のトラブル

2019/07/24 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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「協力義務違反」が問題となる余地

 また、太陽光発電設備工事を、実際に施工するにあたり、想定していた地形と異なるなどして、架台やパネルの設置位置や施工方法の変更が生じる場合があります。このような状況において、SPC・アセットマネージャーがEPC事業者からの設計変更の申し出や問い合わせに応じなかった場合、それによって生じた工期遅延の責任は、誰が負担するべきなのでしょうか。

 EPC事業者が工事を開始、完成するためには、SPC・アセットマネージャーからの指示が不可欠な場合もあり、そのような場合にまで、SPC・アセットマネージャーが不協力の態度を取った場合には、信義則上の協力義務に反すると判断される余地もあります。

 名古屋地判昭和53年12月26日判タ388号112頁では、発注者が、請負業者からの着工の指示の求めに対して一向に応じず、さらに、指図の催告をしたにもかかわらずこれにも応じなかった場合に、「請負人に対し相当期間内に工事に着手することを指図して請負人として負担する義務を履行させ契約の目的を達成することに協力する義務を注文者は負う」として、当該協力義務の違反を認め、損害賠償義務を認定しました。

 この裁判例は、EPC事業者がSPC・アセットマネージャーに対して、損害賠償を求めた事案でしたが、SPC・アセットマネージャーからの指示が不可欠であるにもかかわらず、SPC・アセットマネージャーが不協力の態度を取ったことにより、工期遅延が生じた場合にまで、EPC事業者が責任を負う必要はないように思われます。

 太陽光発電所工事においては、往々にして工期遅延が発生し、その際に売電利益相当額の賠償請求がなされるなど、賠償請求の額が多額になることがあります。

 工期遅延が予測される事態が生じた場合には、関係当事者全員が協議の場を持ち、工期変更の合意や遅延による損害発生防止の策を早めに協議し、後々大きなトラブルに発展しないように努めていただきたいと思います。

「工期遅延」への対応を事前に協議しておりくことが重要
(出所:日経BP、写真はイメージで記事内容と直接、関連しません)
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