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メガソーラー工事請負契約の解除に伴う精算金でトラブル、地裁の判断は?

<第77回>消費増税前の駆け込み、系統連系の長期化と不運が重なる

2021/08/05 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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接続検討回答の前に工事請負契約

 出力900kWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設の解除清算金を巡るトラブルが訴訟沙汰になり、今年1月29日に東京地方裁判所で判決がありました。背景には、消費増税前の駆け込みや系統連系の長期化による契約解除があり、太陽光発電事業者には、いくつかの教訓が含まれています。今回はこの紛争の経緯と判決について解説します。

 本件は、太陽光発電事業者である原告と太陽光等を利用した再生可能エネルギー発電及び電力の販売等を目的とする株式会社である被告との間で、原告を売主、被告を買主として、売買代金2億800万円(税別)で、太陽光発電システム機器一式の売買契約(本件売買契約)を締結し、原告を請負者、被告を発注者として、請負代金9200万円(税別)として太陽光発電所の設置工事に関する工事請負契約(本件請負契約)を締結したのですが、その後、契約解除となり、その解除の精算金の支払いを求め、裁判となったものです。

 まず、判決が認定した事実関係を説明します。

 被告代表者のBは、2013年頃、実家近くの、宮城県大崎市に所在の土地を利用して、太陽光発電事業を行うことを計画し、発電設備の設置や事業全体のコンサルティングを一括して委託できる業者を探したところ、知人から原告を紹介され、当時、原告の営業課長であったCとの間で、本件各契約に向けて折衝を重ねることになりました。

 被告は、2013年10月30日、Cを申請代行者として、経済産業省に対し、再生可能エネルギー発電設備の認定を申請したところ、同年12月20日、同省から、発電出力を900.00kWとして発電設備の認定がされました。

 もっとも、売電事業を営むためには、発電設備を有するだけでは足りず、電力会社に対し、系統連系をしなければならず、原告は、原告において工事を請け負う前提で、東北電力に対し、下請会社を介して、系統連系のための接続検討の申込みを行いました。

 これに対する東北電力からの回答は、3カ月ほどかかる予定でした。

 被告は、2014年3月27日、当時はいまだ東北電力から接続検討の結果の回答がなされていませんでしたが、同年4月から消費税率が引き上げられることを踏まえ、原告との間で、本件各契約を締結しました。本件請負契約では、発電所設置工事については、同年8月31日に完成させ、同日に引き渡されることが定められていました。

通常の接続検討および系統連系申し込み手続きのフロー
(出所:東北電力ネットワーク)
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