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「メガソーラー裁判」を読み解く、「行政裁量」の逸脱・濫用とは?(page 2)

<第65回>静岡地裁・伊豆高原メガソーラーに関する判決の解説(その3)

2020/08/06 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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河川法とは?

 河川法1条は、河川について、洪水、高潮等による災害の発生の防止、河川の適正な利用、流水の正常な機能の維持及び河川環境の整備と保全のために河川管理をすることにより、国土の保全と開発に寄与し、もって、公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを法の目的とし、また、河川法2条が、河川管理については上記の目的が達成されるように適正に行わなければならないと定めています。

 そして、河川法24条は、河川区域内の土地を占用しようとする者は河川管理者の許可を受けなければならないと定めています。

 この河川管理者の許可を要する理由について、静岡地裁判決は「河川区域内の土地は、本来的に、河川管理施設と相まって、雨水等の流路を形成し、洪水を疎通させ、洪水による被害を除去又は軽減させるためのものであり、かつ、公共用物として一般公衆の自由な使用に供されるべきものであるから、このような特性に鑑み、その占用は原則として認めるべきではないところ、占用の目的や態様によっては公共の利益が増進される場合もあり、その占用を認める必要がある場合も数多くあることから、特定人に対して本来の用法を超えて特別の使用権を設定するものである」と判示しています。

伊東市長の「裁量」

 伊東市長の裁量の範囲について、静岡地裁は、「河川敷地の占用を認めるに当たっては、上記法の目的に沿うものであることが要請されているというべきである。そして、河川法施行規則12条は、許可申請書の様式、添付書類を定めるにとどまり、法令上、許可の基準に関する規定が設けられていないことからすると、災害の発生の防止や流水の正常な機能の維持等により公共の安全を保持する観点は、専門技術的な判断を必要とし、それ以外の公共の福祉を増進する観点は、政策的な判断を必要とすることから、それぞれについて許可権者である河川管理者の合理的な裁量に委ねていると解すべきである。

 これと同様に、普通河川条例4条に基づく河川敷地の占用許可についても、占用の目的や態様等に鑑み、河川敷地の上記特性との調和を計りながら河川管理者が許否の判断をする事柄であるといえ、河川管理者である被告市長の合理的な裁量に委ねられているというべきである」と判示しています。

裁判の舞台となったメガソーラーの設置エリアに通じる道路の工事現場
裁判の舞台となったメガソーラーの設置エリアに通じる道路の工事現場
(出所:日経BP)
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