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新築建物で太陽光の発電量が減った場合、どこまで損害賠償できますか?(page 4)

<第54回>太陽光発電パネルへの日照阻害が発生した場合の損害賠償金額

2019/08/23 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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逸失利益との条件関係は認められるが・・・

 当該不法行為と発電効率が落ちたことで逸失利益が生じるであろうこととの間には条件関係は認められるものの、ここで損害との因果関係が認められるためには、条件関係に加えて相当因果関係が存在する(当該因果の経過が社会通念上一般にありうる)必要があります。この点、確かに太陽光が建造物により遮断されるなどすれば、将来的に得られるはずであった発電による収益が減損するという条件関係は認められるものの、当該建造物が建築なされなかったとしても、その他の要因(他の建造物が建築された、天候悪化が続いた等)による発電収益の減損も十分に考えられることから、当該逸失利益まで損害として因果関係を認めるのは相当ではないと考える余地もあります。

 以上の理由により、当事務所としましては、あくまで、投資によって生じる損失の限度で保護されるべきもの考え、無駄になった投資費用相当額を損害とする考え方の限度で法的保護を行えば足りるものと考えています。

 この点、明確な判示をする裁判例がまだ、存在しないところであり、今後の新判例の登場が注目されます。

太陽光パネルへの影は、発電量の低下に直結する
(写真はイメージで裁判事例とは関係ありません)(出所:日経BP)
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