太陽光発電所の保守点検事業者のなかには、施主から太陽光発電所の草刈り業務を請け負っているケースがあります。
この際に発生する刈草は、「産業廃棄物」となりますが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃掃法」といいます)に則った適法な処分方法について今回、解説したいと思います。
処理責任を負う「事業者」とは?
廃掃法は、廃棄物を排出した者としてその処理の責任を負う「事業者」(以下、便宜上「排出事業者」といいます)について、一義明白な定義規定を設けることなく、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」(3条)、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」(11条)などと規定するのみです。
しかし、同法3条は、いわゆる「排出者責任」を排出事業者の責務として一般的に規定したものであることを踏まえると、廃棄物の排出の原因となった事業を営む主体が「排出事業者」であるということができます。
また、本件とは異なり、建設系産業廃棄物に関する事例ですが、東京高裁平成5年10月28日判決(判例時報1483号17頁)は、「当該産業廃棄物を排出する仕事を支配、管理しているか」が重要であり、元請業者のみならず、一括下請負業者も排出事業者となり得るとの判断を示しています(その後の法改正により、原則として、元請業者が排出事業者として建設系廃棄物を処理すべきものとされています。廃掃法21条の3第1項)。
この他、後述する「清掃・メンテナンスに関する行政見解」のとおり、建築物・事業場の清掃において、清掃を請け負った清掃業者は、清掃前から当該建築物・事業場で発生していた廃棄物を一定の場所に集積させるだけに過ぎず、排出事業者には該当しないとの見解が見られることも踏まえると、当該産業廃棄物を「排出」する仕事を支配、管理している事業主体が、廃掃法上の「排出事業者」と扱われるものと考えられます。