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メガソーラー開発業務の委託料を巡り紛争、訴訟沙汰に(page 3)

<第77回>「通謀虚偽表示」により契約が無効に、東京地裁判決の解説

2021/09/13 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生 
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「200万円」への増額を画策したが…

 東京地方裁判所は、以下の通り判示しました。その内容を読むと、当初1MW当たり100万円としていた報酬額が、同200万円に上げられ、その業務委託契約書が作成された経緯が分かります。

 本件業務委託契約における原告の報酬は、2012年11月に同契約が締結された際、本件プロジェクトに係る太陽光発電設備の出力1MW当たり100万円とする旨の合意がされていたところ、原告代表者は、2016年頃から、被告代表者に対し、設備用地の紹介者に対する謝礼に充てる費用を捻出するため、1MW当たりの報酬単価を150万円に増額することを求めるようになった。これに対し、被告代表者は、原告代表者の要求は被告会社にとって何らメリットのある話ではないことから、これを断っていた。

 被告代表者は、2017年2月頃、B社間合意に係る報酬計算に関し、本件業務委託契約に基づく原告への報酬は全て被告の負担となるのに対し、原告と入れ替わる形で設備用地の地権者との土地利用に係る交渉業務などを行っていたC社に対する報酬がB社と被告との共通経費として扱われ、その費用の半分を被告が負担することに不満を覚えるようになった。

 そうしたなか、被告代表者は、本件業務委託契約に係る報酬を見かけ上1MW当たり200万円とし、その全てをB社間合意における共通経費とすることをB社に認めてもらい、さらに、1MW当たり50万円を原告から被告側に戻してもらえば、被告の利益にもなる上に、原告に対する報酬を1MW当たり150万円に増やすこともできるのではないかと考えるようになった。

 そこで、被告代表者が、原告代表者に対し、上記のような形が実現するのであれば原告に対する報酬を1MW当たり150万円としても構わないと告げると、原告代表者もこれを了承し、原告に対する報酬を1MW当たり200万円とする内容の契約書を作成することとなった。

 その後、原告は、同年4月19日に、1MW当たりの報酬を200万円とする請求書を発行し、被告代表者は、B社の副社長に対し、本件契約書を示して原告に対する報酬を共通経費として認めるよう求めたが、B社の副社長からは、C社に業務委託をせざるを得ない状況になったこと、原告は本件プロジェクトに最後まで参加しておらず、本件契約書で定める報酬金額は市場価格から大幅に外れていることなどを理由に上記要求を拒否され、上記の計画が実現することはなかった。

 以上の事実認定の上、東京地方裁判所は、「本件業務委託契約に係る報酬は、当初に合意されたとおり、1MW当たり100万円であると認められる」と判示しました。

東京地方裁判所の外観
東京地方裁判所の外観
(出所:日経BP)
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