特集

太陽光発電所の譲渡に際し、特約が「公序良俗」違反に(page 2)

<第78回>負担金の借り入れに関する特約が無効とされた判例の解説

2021/10/20 18:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
印刷用ページ

暴利的な条項か否か

 民法第90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」と定めています。「公の秩序又は善良の風俗」の部分を縮めて、「公序良俗」と呼ばれています。

 法律行為の目的が反社会的・反道徳的なものである場合に、その効力を無効とすることによって、法律行為の社会的妥当性を保つ趣旨で規定されており、本件では、譲渡人にとって暴利的な条項に該当するとして無効な条項ではないか、が争われました。

 裁判で譲渡人は、本件特約について、「借入金の返済すら出来ない場合、一般に太陽光発電所が稼働に至る可能性は低く、系統連系負担金の支出が貸倒れとなる危険があったことから、本件特約が設けられたものである」と主張し、公序良俗違反ではないと主張しました。

 すなわち、太陽光発電所は、施設が完成して稼働しない限り価値はないから、再譲渡できるとは限らないし、太陽光発電所については、電力会社が電力を固定価格(調達価格)で買い取ることが義務付けられているところ、太陽光発電所の稼働が遅れれば、その調達価格が低額となり、また、調達価格での買取りがされる期間が短くなるため、譲渡人が被る損失は10億円にも及ぶ旨を供述し、本件特約により譲受人に上記の権利等を放棄させることが暴利的ではないと主張したのです。

東京地方裁判所の外観
東京地方裁判所の外観
(出所:日経BP)
クリックすると拡大した画像が開きます
  • 記事ランキング