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太陽光発電所の譲渡に際し、特約が「公序良俗」違反に(page 5)

<第78回>負担金の借り入れに関する特約が無効とされた判例の解説

2021/10/20 18:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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特約を設ける際の注意点

 もっとも本判決の事案における特約に関して留意すべき点は、先述のとおり、譲受人が系統連系負担金を納付できず太陽光発電所が稼働できないという共倒れのリスクを回避するために譲渡人が設けたものであって、ことさら譲受人から不当に利益をせしめるような類のものではなかったはずであるということです。すなわち本件特約は、上記事業の性質に照らし設定された一種のリスクヘッジ条項にほかならないはずであるにも関わらず、暴利行為にあたると判断しました。

 現代的な暴利行為の該当性判断の下では、様々な考慮要素をもって判断されるとの性質上どのような事情をもって「暴利行為」というかを一義的に決めることは確かに困難ではありますが、事案の特殊性に応じて当然判断においての各事情の意味合いや軽重は自ずと変わってくるものといえるでしょう。もちろん違約金があまりにも高額であるとか、目的物に対する売買代金の大小が重視されるべき事案も当然あるでしょう。そうした場合には額面自体が暴利行為の該当性の目安になるといえるでしょう。もっとも本件が譲渡の対象が各発電所の事業権といった特殊性の高い事案であることからすれば、当該特約がそもそも必要となる背景や特約の性質といった事情についてさらに深く考慮されることが望ましい事案であったと言えるでしょうが、結局のところその主張立証が十分に行われなかったが故に暴利行為と判断されたものと考えます。

 太陽光発電所の譲渡契約において、様々なリスクを想定して特約を契約書に盛り込むことになりますが、あまりに自社に有利すぎる特約は公序良俗(民法90条)に反する特約であると評価され、無効と判断される可能性もあるので、気をつけるべきでしょう。

自社に有利すぎる特約には注意を
自社に有利すぎる特約には注意を
(写真はイメージで本文の事例とは関係ありません)
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