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パネル出力かパワコン出力か? 発電所の売買代金を巡る訴訟で判決、その解説と教訓

<第68回>メガソーラーの売買契約における法的な留意点

2020/11/27 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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 メガソーラー(大規模太陽光発電所)の売買代金額は、太陽光パネルの合計出力に単価100円/W(税別)を乗じた金額か? パネルの合計出力、もしくは、パワーコンディショナー(PCS)の出力のいずれか小さい方に単価100円/W(税別)を乗じた金額か?

 東京地裁でこうした点が争われ、今春に判決が言い渡されました。今回は、この「東京地方裁判所令和 2年 3月24日判決」について解説します。

訴訟に至るまでの経緯

 本裁判のケースは、静岡県御殿場市所在のメガソーラーの「太陽光発電所事業運営権利」を売却する旨の売買契約(以下「本件売買契約」)における代金額の決定方法をめぐり、2014年6月30日、原告と被告会社との間で争われました。

 ちなみに、「太陽光発電所事業運営権利」とは、経済産業省が認定した本件各発電所に係る設備認定(ID)の権利、電力会社の申請、系統連系許可などの権利、本件各発電所を建設着工し運営することが可能な用地の使用権、本件各発電所に係る太陽光発電所事業を運営する事業者としての一切の権利を有するSPC(特別目的会社)の株式など、その他同事業を運営する事業者としての一切の権利を指します(以下「本件事業運営権」と総称)。

 原告の主張によると、太陽光発電所に関する売買契約においては、パネルの出力がその発電所の発電量を決定するため、その出力をもって代金額が決定されるのが通常であるところ、経産省の固定価格買取制度の文言の丸写しである「本用地に建設された太陽光発電所に敷設されたパネルの合計出力、もしくは、PCSの出力電力量のいずれか小さい方に単価100円/W(税別)を乗じた金額とする」との売買代金額の決定方法が太陽光発電事業合意書に記載されていました。

 この太陽光発電事業合意書に、原告も被告も記名捺印しています。

 その後、メガソーラーのパネル出力が以下の通り確認されました。(ア)第1発電所・2144.340kW、(イ)第2発電所・2338.560kW、(ウ)第3発電所・2436.000kW

 本件各発電所のパネルの合計出力及びこれに100円/Wの単価を乗じた金額は、合計額6億9189万円(税込み7億4724万1200円)となります。

 これに対して、本件各発電所のPCSの出力は、いずれも1990kWであり、出力に100/Wの単価を乗じ、消費税相当額を加えた合計金額は6億4476万円となります。

 原告は、6億9189万円(税込み7億4724万1200円)が売買代金額だと主張し、被告は、6億4476万円が売買代金額であるとして本裁判で争いとなりました。

パネル出力とPCS出力の差(過積載比率)は、1.3倍程度が一般的になっている。国内太陽光発電の過積載率の推移
(出所:経済産業省)
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