特集

太陽光の営業、パンフに「注意書き」さえあれば、発電量のオーバートークも許容されるのか?

<第69回>太陽光発電システム販売時における「説明義務違反」

2020/12/10 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
印刷用ページ

 太陽光発電システムを導入するのは、電力会社から購入する電力量を減らしたり、売電して経済的利益を得たりするためであり、太陽光発電システムがどの程度発電できるか、投資した金額は何年で回収できるのかは、消費者が意思決定をする上でとても重要なポイントになります。

 今回紹介します「東京地方裁判所令和 2年 3月10日判決」の事案は、営業マンによる「だいたい10年程度で元が取れるのが一般的です」という説明が実態と異なるとして施主が太陽光設置代金(裁判ではリフォームローンの信販会社からの立替金請求)の支払を拒絶して裁判となりました。

「10年で元が取れる…」、実際には「20年」

 事案の概要は以下です。

 本件の施主は、インターネットサイトで太陽光発電システムに関心を抱き、自宅屋上に太陽光発電システムを設置しようと考え、複数社に見積もりを依頼しました。

 太陽光発電業者の営業担当者Cは、2017年2月17日、施主宅を訪問し、施主に対し、見積りのたたき台を示して勧誘し、その後も、Cは、施主に対して、「電力バランスシミュレーション」と題する書面、「Y様邸太陽光発電システム導入シミュレーション」と題する書面を示して、本件太陽光発電システムについて、説明しました。

 上記「電力バランスシミュレーション」には、太陽光発電システムを設置した場合、売電収入により、月間1万2570円、年間約15万900円のプラスが生じる旨の記載があり、一方で「◆お断り◆ 電力バランスシミュレーション表は、当該地域における過去30年間(1961年~1990年)の気象データを基に算出した予想発電量と、おおまかに算出した電力消費量の差によって、太陽光発電システム設置による電気の売り買いバランスを予想算出したものであり、お客様のメリットを保証するものではありません」との記載がありました。

 上記「Y様邸太陽光発電システム導入シミュレーション」には、予想される発電量や売電収入についての記載があり、1年目は12万5100円、11年目は8万9518円のプラスが生じる旨の記載があるほか、一方で「本シミュレーションは、当該地域における気象データを元に当社の計算方法に基づき予測したものであり、お客様のシステムの性能を保証するものではありません」との記載があります。

 また、Cは、説明の過程で、施主から、「だいたいどのくらいの期間で元がとれるのか」との質問に対し、「だいたい10年程度で元が取れるのが一般的です」などと答えた事実が認定されています。

 上記事実関係のもと、施主は、「本件太陽光発電システムを購入する際、営業担当者であるCから、太陽光発電システムの購入・設置代金168万円について、10年程度で回収できるとの説明を受けたが、実際は20年程度を要することが設置後明白となった」などと主張して「本件太陽光発電システムの完成品の引渡しを受けたものとはいえない」として、代金の支払いを拒絶して裁判となりました。

住宅太陽光発電システムのイメージ
(出所:三洋電機、本文の事例とは関係ありません)
クリックすると拡大した画像が開きます
  • 記事ランキング