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太陽光発電の設置目的を隠して土地取得、売主が訴えて裁判に(page 4)

<第80回>虚偽の説明で締結された土地売買契約は「錯誤無効」に

2021/12/27 17:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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東京高裁判決の内容は?

 土地の買主は、太陽光発電事業を行う目的で本件土地を購入したのであり、本件契約に際し、本件土地で太陽光発電事業を行わないと発言したことはないと高等裁判所で主張しました。

 これに対し、東京高裁判決は次の通り判示しました。

 「確かに、本件契約書(甲1)には、土地の買主が売買によって取得した後の本件土地の利用方法につき、太陽光発電設備の設置場所としては使用しない旨の約定は記載されていない。しかし、本件では、Aが2016年2月26日に本件土地の購入を持ちかけて、売買交渉が開始されたが、被土地の買主X1が太陽光発電目的であることを知り、買受けの申出を断った事実がある。

 したがって、土地の買主が太陽光発電設備の設置場所として本件土地を使用する目的であることを土地の売主が知れば、本件契約が締結されなかったことは明らかであり、そのような土地の売主の意向は、土地の売主のための媒介業者であるd社にも伝えられていたことが認められる。土地の買主及びAは、ともにb社の代表社員であり、原審における土地の買主本人尋問の結果によれば、Aは土地の買主の息子であり、太陽光発電のための土地の選定についてはAが立案し、資金の調達には土地の買主が必ず関与していたことが認められる。土地の買主は、Aから、本件土地が従前購入を試みた土地であることは、「最初の時点では」聞いていなかったと供述するが、従前購入を試みた際に資金の調達の相談は受けていたはずであり、Aと土地の買主との関係からみて土地の買主の上記供述を信用することはできない。

 そうすると、このような状況下で、土地の買主がb社の代表社員であることを、d社のCに明かさずに、購入目的を「別荘」とし、取引目的を「居住用」と表明したことは、本件土地において太陽光発電事業を行わないことを表明したものにほかならないというべきである。したがって、本件契約書に太陽光発電設備の設置場所としては使用しない旨の約定が明記されていなかったとしても、本件契約に際し、土地の買主は、本件土地において太陽光発電事業を行う目的がないことを表明しており、そのことが土地の売主の錯誤を招いたのであるから、本件契約は錯誤により無効である」

東京高裁の外観
東京高裁の外観
(出所:日経BP)
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