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「FIT終了」に現実味、その時、太陽光ビジネスに求められるもの(page 2)

<第18回>「市場ベース」「買取義務の消失」で事業形態が激変

2019/06/28 05:00
大串卓矢=スマートエナジー社長
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売電価格は「市場ベース」に

 FITの下では、太陽光の場合、毎年、買取価格が低下してきたものの、適用される価格は事前に確定しており、20年の買取期間中は固定だった。従って、発電事業者は、かなり高い精度で売り上げを予測できる、という大きなメリットがあった。

 しかし、今後、FITが終了すれば、再エネの売買単価は固定ではなくなりそうだ。というのは、これまでの有識者会議での議論から、新たな仕組みは、市場をベースにしたものになるからだ。そうなると、原則的には市場価格に連動して買取価格が決定されるようになる。市場価格は電力卸売市場(JPEX)で公表される値段である。

 こうした仕組みは、すでに海外で前例がある。市場価格をベースにしつつ、最低価格を決めておき、市場がそれより下がった場合、補てんする方法や、市場価格に一定のプレミアムを付加する方法(フィードインプレミアム=FIPと呼ばれる)などがある。

 例えば、事前に決めた指定価格から実際の取引金額を差し引き、それがマイナスの場合、プレミアムで補てんされる一方、プラスの場合には、その分が収益となるような仕組みも有力な案となっている。こうした制度だと、単に最低価格を決めるより、発電事業者にとって自由度が高い。例えば、市場の価格を見ながら、高いときに売り、安いときには蓄電するなどの工夫で、より高い利益を狙うことが可能になる。

 つまり、現在のFITのように「ただ発電して売ればよい」という単純な売電ビジネスから、事業リスクが高まりつつも、工夫次第で収益が伸ばせるビジネスへと変貌することを意味する。

 図2で説明すると、市場取引金額が指定価格より低い部分(A)と市場取引金額が指定価格より高い部分(B)に、それぞれの取引ボリュームを乗じた結果を比較し、指定価格より安く取引されている場合(A>B)には、プレミアムで補てんする制度である。

 プレミアムの金額は、国全体で決まるので、個々の発電事業者に操作はできない。しかし、個々の発電事業者は、Aの時間帯に売るか、Bの時間帯に売るかの裁量を持つことになる。もちろん、再エネ発電事業者にとっては、Bの時間帯に多く売却できれば、多くの収益を計上できるようになる(図2)。

図2●「プレミアム」のイメージ
(出所:筆者作成)
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