特集

太陽光発電にもAI活用、O&Mコストが大幅に低下(page 3)

<第19回>ベテラン技術者の「経験」と「労力」を代替

2019/07/31 05:00
大串卓矢=スマートエナジー社長
印刷用ページ

AIがベテランの「経験」を代替

 太陽光発電のO&Mにおいて、とりわけ時間とコストがかかるのは、不具合を発見する点検作業である。

 しかし、遠隔監視システムによる常時モニタリングにより、人間による点検作業を大幅に削減できる。不具合を発生させる兆候を常に監視しておき、モニタリング対象が一定の閾値を超えたときにアラームを発生させる。ポイントは、モニタリング対象となるデータの特定と、アラームを発生させる兆候か否かの見極めである。

 AIには、外的環境データ(日射強度、パネル温度、日陰)、設備データ(パネル角度、パネル出力特性、PCSロス率、ケーブルロス、変電ロス)、劣化要素(パネル・ケーブル経年劣化、パネル表面汚れ)のパラメータを導入し、太陽光発電のシミュレーションモデルを構築する。このシミュレーターと実際の発電量との乖離から、発電異常をみつける。

 これまでの一般的な監視システムは、主に閾値(しきいち)より出力や発電量が低下しているかどうかで異常を判定していた。例えば発電量が一定値を下回ると「異常」と判断し、太陽光発電の管理者に通知される。

 しかし、発電量は、季節、時間帯、設置地域のほか、発電所の周囲環境などさまざまな要因に依存するため、単なる閾値判定による判断では信用性に乏しく、また判定後も人間による分析・判断が必須となり、実際の運用では、ベテラン技術者の経験と労力が必要という。

 こうした中で、住友電気工業は計測したストリング単位の電力値をAIによって異常内容を判定し、緊急度別に通知するストリング監視システムを開発した(図3)。

図3●予測機能を含む遠隔監視システムの例
(出所:住友電工資料)
クリックすると拡大した画像が開きます
  • 記事ランキング