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千葉・水上メガソーラー事故、強風で損壊したメカニズム考察(page 4)

<第21回>アンカーケーブルが切れた理由を設計面から分析

2019/09/25 06:25
大串卓矢=スマートエナジー社長 
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「山倉ダム」事故の背景

 山倉ダムの事故は、先端フロートのめくれ上がり防止のため、一番先端にアンカーケーブルを設置していると推定される。それは、南端の1列が残っていることから推測できる。しかし、その1列目と2列目のフロートジョイント部分で、断裂が生じている。この断裂が生じた理由は、フロートB以降の風荷重に対して、フロートAとフロートBのジョイント部分の耐性が弱かったために生じたものだろう(図6)。

図6●山倉ダムの水上メガソーラーにおけるフロート架台の例
(出所:筆者作成)
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 フロート架台のメーカーである仏シエル・テールの資料によると、フロート間のジョイントは耐荷重3.0tである。それに対して、シエル・テール製12度架台の38m/sの強風に対する風荷重は25kgとなり、フロートが 3000÷25=120列 以上になると3.0tの強度では、ジョイント部分が破壊されてしまう恐れがある。

 したがって、少なくとも120列に1つ以上のアンカーケーブルを敷設する必要があり、それ以下のケーブル敷設なら、38m/s以上の強風に耐えられない設計となる。例えば、200列の水上フロート太陽光発電設備があったときに、アンカーケーブルを南端と北端のフロートA、フロートCのみに設置した例を考えてみよう。この場合、アンカーケーブル1本あたりに、フロートは100列(200列÷2本)であり、計算上38m/sの強風に耐えられる計算となる(図7)。

図7●設計ミスになる事例
(出所:筆者作成)
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 しかし、今回のケースのように南から強風が吹いたケースでは、フロートAとフロートBのジョイント部分で考えてみると、199列分の風荷重がかかることになり、3tの耐荷重では耐えられずに、破壊されてしまう。そして、AとBのジョイントが離れてしまうと、フロートCへのケーブル荷重は199列分となり、ケーブルもその力に耐えられずに切れてしまうのではないか。

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