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なぜバイオマス燃料は集まらないのか? 国内外で「奪い合い」(page 3)

<第26回>輸入も国産も前途多難、燃料調達の課題と注意点

2020/02/28 15:30
大串卓矢=スマートエナジー社長、
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調達は半径100kmが限界

 国内材の場合も材料調達は頭の痛い問題である。国内材のバイオマス発電も運搬コストの問題から、発電所から距離の近い場所から調達しなければならない。トラックで運べる距離を考えると半径100kmが限界となってくる。

 100kmを仮に3時間で運ぶとすると、往復6時間、積み降ろしの時間を考えると1日8時間となる。これ以上の距離を運搬するには、運転手の勤務形態などを工夫していくことが必要になり、長期安定、低コスト運搬という命題に無理が生じてくる。

 したがって、発電所周辺の山の所有者、林業事業者、森林組合などと材料調達の契約を締結し、調達していくことになる。32円・40円/kWhの売電単価を維持するためには、間伐材か森林経営計画の対象森林からの主伐材(主にC材利用)、林内に放置される端材や枝葉などの未利用部位(D材とも呼ばれる)を購入する必要がある。

 しかし、間伐材はどうやって集めるかという問題、未利用部位はトラックに積み込むとしても間隙が大きく運搬コストを回収できないという問題を解決する必要がある。また、木材資源は林業従事者が年々少なくなる中、売手市場となっており、林業関係者との丁寧な付き合いが求められる。新参者が高い価格で買いまくることが出来ない可能性もある。

 また、材の流通構造にも注意を払わないといけない。山林地主、材の出荷者、集荷者、購入者という取引関係者がいる中で、どの事業者にどのように接したら良いのかも重要だ。材を集めたいからといって、直接地主と交渉すると反感を買う場合もある。

 バイオマス発電を新規に設立するときには、時間をかけて地域の社会に上手に入り込み、地域社会のメンバーであることを認めてもらうこと、ビジネスだけではない人的な付き合いを大切にすること、取引関係者からの信頼を高めることなどを丁寧に積み重ねることが求められる。それをしない事業者は、材を集められないことになる。

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