バイオマスの材料をめぐって、世界中で取り合いが起こっている。バイオマス発電は、昔からあるが、それは廃材を燃やして発電するサーマルリサイクル(排熱回収)の方式であった。一方で、廃材の利用には、粉砕して固めることでパーティクルボードのような形の再利用の方法もある。これはマテリアルリサイクル(材料の再利用)と呼ばれる。
かつてドイツでは、木材のカスケード利用が実現されていたが、バイオマス発電が固定価格買取制度(FIT)の対象となって以来、「サーマルリサイクルVSマテリアルリサイクル戦争」が20年以上前から“勃発”し、材料の奪い合いをやっている。今回は、バイオマス発電の最重要ポイント、木質材料の調達について考えてみる。
すでに売電量は太陽光に次ぐ
再生可能エネルギー電源のFITによる発電量を見ると、バイオマス発電の買取電力量は太陽光発電に続く2番手となっている。これは、風力発電由来の買取量の約3倍のボリュームである(図1)。
バイオマス発電量は経済産業省が当初予定していた計画を上回る勢いである。ただ、海外からの輸入バイオマスが中心となっていることから、今後は輸入材料・燃料のバイオマスはFITの範囲外となりそうである。
そうなるとバイオマス発電は国内材の調達によらざるを得ないが、国内材の調達ができないという事業者が多く、多くのバイオマス発電事業の計画が頓挫している模様だ。その理由として国内であっても燃料調達が思うように出来ないという。