FIT18円、96kWの低圧案件を購入
連系出力が10kW以上、50kW未満の、いわゆる「低圧事業用太陽光」は、固定価格買取制度(FIT制度)の抜本見直しにより、一定の基準を満たした営農型を除いて全量売電システムへの政策支援がなくなった。もともと、この分野の太陽光はFIT後に導入されるFIP(フィード・イン・プレミアム)や、民間ベースのPPA(電力販売契約)など、買取価格が市場ベースに近づいていく仕組みのなかでは、投資収益性を維持できないとの見方もある。
今回、実際に低圧事業用案件を購入し、運転開始からちょうど1年がたったので、年間の事業計画に対して、事業収支がどうだったのかを分析した。実際の低圧太陽光発電の事業結果を踏まえ、市場ベースの事業モデルで低圧太陽光が生き残れるのか検証する。
まず、実際に当社で購入した低圧案件について、モデルケースとしてどのような収支が実現できたのかを公開する。案件は千葉県内に立地し、太陽光パネルの合計出力が96kWと2倍近い過積載になっている。2019年5月から運転を開始した。FITによる売電単価は18円/kWhであり、表面利回り11.5%という想定で購入した(図1)。
太陽光パネルは、中国JAソーラー製(300W/枚)、パワーコンディショナー(PCS)はオムロン製を採用した。JAソーラー製パネルの信頼性は高いが、近年の最新モデルでは、ハーフカットセル(発電素子)などの技術で出力400W/枚も珍しくなくなったことと比べると、モデルタイプの古さは隠せない。
PCSも、中国ファーウェイのようにIT武装しているモデルに比べると旧世代という印象を受けるが、安定性に定評にある日本製であり、長く付き合えるという安心感はある。これらのシステム構成は、日本の低圧太陽光としては一般的であり、これからも似たような案件は増えると思う。