日本政府は、固定価格買取制(FIT)から、フィード・イン・プレミアム制度(FIP制度)によって再生可能エネルギーを普及させることを決定している。その中で、「アグリゲーター」という新しい概念が採用された。エネルギー供給強靭化法案によって、電気事業法に定義されたのだ。FIP制度の中で、重要な役割を果たすと見られている「アグリゲーター」とは何かについて解説する。
「アグリゲーター」とは何か?
新しいエネルギー基本計画において、再エネが主力電源として機能することが目指されている。しかし、そのためには、再エネの不安定さを解消することが必要となる。分散型電源などを束ねて電気の供給を行う事業者、すなわち「アグリゲーター」がその不安定さを解消するというイメージが、新しい電気事業法の世界である(図1)。
電気事業法上、アグリゲーターは適格要件が定められ、ライセンス制となった。リソースアグリゲーターは、小型で分散している太陽光発電のような小規模電源を束ねる役割を担うが、その他にもデマンドレスポンス(需要応答)を実施したり、蓄電池などで需給を調整したりすることも求められる。
今夏、米国カリフォルニア州では、計画停電の実施を余儀なくされた。詳細な原因分析はまだであるが、今年8月、熱波に見舞われ空調需要が急増したため、需給が逼迫するなか、太陽光発電が夕方から急激に出力低下しため、と推定されている。8月14日午後6時30分ごろから約3時間にわたり、州全体で約30万世帯に影響があった。再エネの主力電源化は、日本にもこのような事態が生じる危険性が増えるため、アグリゲーターはその回避のために重要だと考えられる(図2)。