特集

「再生可能エネルギー電気」をいかに調達するか?(page 4)

まず「自家消費」を検討、環境価値は補完的に使う

2021/01/28 05:00
大串卓矢=スマートエナジー社長
印刷用ページ

「環境価値」の購入

 再エネ調達量のプラス・マイナスを調整する仕組みとして、環境価値の取引制度がある。再エネ由来の電力を電気そのものの価値と環境に良いとされる価値に分けて流通させる仕組み(制度)である。制度としての環境価値はいくつかあるので、それぞれの特徴に応じて利用するとよい。

(1)非化石価値

 「非化石価値」は、主として小売電気事業者のエネルギー供給構造高度化法上の義務達成手段として創設された制度である。従って、現在は会員である小売電気事業者しかJEPXから購入出来ない。しかし、大口電力需要家が直接購入できるような変更も検討されている。

 FIT電源由来の環境価値、原子力発電の由来のCO2無排出の価値が、非化石価値として購入でき、いずれもエネルギー供給構造高度化法に利用可能である。

(2)Jクレジット

 「Jクレジット」は、Jクレジット制度により発行される環境価値である。省エネ法の義務達成手段として活用できる。省エネや森林整備でのCO2削減が中心であるが、非FITの太陽光発電でも、第三者認証を受けるとJクレジットが発行される。

 Jクレジットは、政府が運用し、第三者認証も必須であるため、RE100には活用可能であると考えられる。

(3)グリーン電力証書

 「グリーン電力証書」は、非FITの風力発電や太陽光発電、バイオマス発電でその環境価値を証書化したものである。民間の取り組みであるが、適切な運営が確保されており、「CDP、RE100、SBT、日経環境経営度調査などの各種報告において、再エネの使用量として報告できる。また、温暖化対策推進法の調整後温室効果ガスの削減や東京都や埼玉県などの環境条例における再エネクレジットとしても活用」でき、広く認められた制度となっている。

 グリーン電力証書の制度は、FIT開始前から存在するが、FIT制度に移行してしまう再生可能エネルギーが多かった。FIT制度では、環境価値は国に移転してしまう仕組みであり、グリーン電力証書とFITは相反するものになった。しかし、今後のフィード・イン・プレミアム(FIP)制度は、環境価値を移転させない可能性もあり、その場合にはグリーン電力証書は、環境価値の見える化手法として有用性が高まる可能性がある(図4)。

図4●非化石価値取引市場の動向
図4●非化石価値取引市場の動向
(出所:JEPX)
クリックすると拡大した画像が開きます

自社再エネの不足を環境価値で補完

 再エネ調達に際しては、自社設備として太陽光発電設備などを保有できないかを、まずは考える。金融機関からの借入という伝統的な手法だけでなく、最近は、「第三者所有モデル」など、資金調達手段のバリエーションが増えているので、上手く活用することをおすすめする。そして、足りない部分を、環境価値の購入で補う。環境価値は、いくつかの種類があるので、それぞれの目的に使用可能な価値を購入し、「環境価値」を「消費」することで、目標を達成するとよい。

  • 記事ランキング