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「46%減」目標で低圧太陽光に脚光も、O&Mが課題に(page 2)

AIを使った「スマート保安」で大幅にコスト削減も

2021/05/27 05:00
大串卓矢=スマートエナジー社長
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O&M費用を捻出できない

 日本では、連系出力10kW以上50kW未満の野立ての低圧事業用太陽光が多く、MWベースで37%、発電所数でいうと95%以上に達している。この低圧太陽光の保安は、事業者の自主的取り組みに委ねられている。そのため、個人が運営する発電所のメンテナンス不足が事故を引き起こすケースが目立つ。

 そのため、経済産業省は低圧太陽光の発電設備について、保安の取り組みを強化する方針を発表している。経済産業省が問題視しているのは、保安が不十分な設備が散見され、事故を引き起こしている現状だ。今後は、事業者に保安を外部委託することを促す制度を走らせようとしている。

国内太陽光発電の規模別・導入量推移(単位:GW)
国内太陽光発電の規模別・導入量推移(単位:GW)
(出所:経産省の資料を元に日経BP作成)
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 しかし、問題は、小規模な太陽光発電はO&M費用の負担能力に乏しく、適切な保安サービスを受けられないのではないかという点だ。保安のために専門技術者が動く場合に、1日数万円はどうしてもかかってしまうが、売電収入が少ない場合には、売電収入に対してO&M費の占める割合が高くなってしまう。義務化しても実効性を伴う施策にならない恐れがある。

 例えば、太陽光パネルの出力100kW(過積載比率2倍)で年間売電収入が200万円の低圧事業用発電所があるとする。そのオーナーのキャッシュアウトの一番大きなものは、期初のローン返済額である。設備購入を2000万円とすれば、15年返済の想定で、年間の返済額は元金返済額と利息の合計で、150万円前後となるだろう。その他に、償却資産税や借地料などを支払う必要があり、O&M費用の支払い原資はかなり限られていることがわかる。100kWは低圧の太陽光発電としては大きいものに分類されるが、それでもフルローンで調達するとオーナーの資金的な余裕はほぼない状態となる。

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