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太陽光「セカンダリー案件」、売買時の7つのリスク(page 3)

RE100企業の増加で事業会社にも買い手が広がる

2021/06/29 00:10
大串卓矢=スマートエナジー社長
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セカンダリーの供給と需要

 FITによる新規案件の市場への供給は、ほぼなくなりつつある。FIT認定のID、土地売り情報はより貴重になり、セカンダリー案件はFIT案件を増やす手段としての価値が高まっている。ただ、セカンダリー案件の供給量は不明である。新型コロナによる経済危機が太陽光案件の売り圧力となるとの見方もあったが、今のところ、売却理由として新型コロナを挙げる売買事例は目立っていない。

 しかし、外国資本のSPC(特定目的会社)売買によるバルク売りは、取引規模が大きいので目立つようになってきた。税務メリットを考え、会社売買を希望する例が目立つ。特別高圧案件、高圧案件、低圧案件の規模を問わず、売りたいとのニーズは常にあると感じている。当社で言えば、常時50~60件程度の売り案件情報がある状態である。

 セカンダリー案件の需要は、以前から買い手の中心であるファンド・金融系投資家が相変わらず買い意欲が旺盛である。上場・非上場ファンドの規模は増加中で、上場インフラファンドの時価総額は、2021年1月に1300億円であったものが、1600億円まで上がっている。

 最近、新たな買い手として浮上しているのが事業会社である。彼らはRE100(再エネ100%目標)を自ら掲げ、もしくは掲げている企業を得意先に持つため、本業を続けるためにも、再生可能エネルギーを調達しなければならない。よって、FIT期間終了後の太陽光発電設備の価値(ターミナルバリューと私は呼んでいる)を値付けできる投資家となっている。ここで差がつき、ファンド系の投資家より高値で発電所を購入している状況が見られるようになった。

 また、金融庁と東京証券取引所は上場企業に適用するコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を改訂する。ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した事業に資金を誘導するため、気候変動が事業に与えるリスクや対応策を上場企業に開示するよう求める。

 その時、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づいた開示が求められるようになる。TCFDは、投資家向けに気候変動問題に関連した情報の開示フレームワークを提示する。企業にとっては脱炭素社会における経営戦略を立案し、投資家へ説明しなければならない。従って、上場企業は気候変動リスクヘッジのために、自ら再エネを調達するというプレッシャーを受けることになる。

SPC売買のメリット・デメリット
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(出所:スマートエナジー・JPEA講演資料)
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