特集

ポストFIT太陽光・成功のカギ、発電量の予測技術(page 4)

AIで精度向上、O&Mの高度化・低コスト化にも寄与

2021/11/30 05:00
大串卓矢=スマートエナジー社長
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期待される「予知保全」への応用

 近年、AI技術の発達により、インフラ設備の「予知保全」と呼ばれる手法がインフラ設備会社によって研究されている。予知保全とは、トラブルを予防するのではなく、予知することで、効率的に保全活動を行おうとするものである。

 日本のインフラ設備は、戦後に構築されたものが多く、老朽化が問題となっている一方、メンテナンス技術者の高齢化も加わり、現状では設備の有効性・安全性が確保できないとの危惧が出てきた。この問題への対応策として、ベテランの知識・経験をAIやロボットにより次世代に引き継ごうと試みられている。

 太陽光設備の故障診断は、太陽光の運用期間が長くなってくるに従い、今後、爆発的にニーズが高まることが予想される。不具合を予防し、メンテナンスにかけるコストを下げていくためにも、その高度化と普及が望まれている。

 太陽光発電所のトラブルを予測する「予知保全」は、発電量を手掛かりに行うのが一般的である。ドローンによって太陽光パネルの不具合を見つける手法は故障診断技術として知られているが、パネルしか見ることが出来ないという欠点がある。

 それに対して、遠隔監視システムによる実際の発電量データと、日射量など気象データを組み合わせることで、発電設備のシミュレーションモデルを構築し、それによる予測値と実測値の誤差を分析することで、不具合を予知し設備の健全性を担保するシステムが現在、開発されている。

 こうした予知保全のシステムが普及すれば、太陽光発電所のメンテナンスコストが削減され、耐久性のアップ、発電量の最大化などが期待できる。ただ、このシステムで重要になるのがシミュレーションモデルによる予測精度になる。この精度が低いと実際の発電量とのズレを分析しても、その信頼性が高まらない。

 太陽光の発電量を高精度に予測する技術は、FIP制度やコーポレートPPAなどによる売電事業で日々求められる発電計画の作成だけでなく、予知保全などへの応用によって、メンテナンスコストの削減にもつながりそうだ(図5)。

図5●今後、10年で増える再生可能エネルギー
図5●今後、10年で増える再生可能エネルギー
(出所:経済産業省資料から筆者作成)
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