「再エネビジネス」最前線

FITなしの2022年度、補助金をうまく使い案件組成を

補正予算成立、注目される「太陽光向け補助金」を解説

2021/12/25 22:00
大串卓矢=スマートエナジー社長

 2022年から太陽光発電のモデルが大きく変わる。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を活用したモデルから、フィード・イン・プレミアム制度(FIP)や自家消費によるモデルに移行していく。いきなりFITが無くなることもあり、ここ数年は補助金を活用した手法が着目される。今回はどのような補助金が用意されているのか、紹介する。

「オンサイト太陽光」への補助金に人気

 屋根上や有休地でのオンサイト太陽光発電を導入する事業者向けの補助金が環境省で予定されている。予算要求額が164.5億円と大型の補助金であり、補助割合も蓄電池無しで4万円/kWとなっており、非常に分かりやすくシンプルである。そのため、事業計画も立てやすく、人気の補助金となっている。

 正確には、「PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」で164億円となっており、その中のうち、「(1)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」という補助金メニューとなっている。

 工場などの事業所内に設置するオンサイト太陽光発電設備が対象となる。設備の導入は自家所有、リースの他、PPAと呼ばれる第3者所有の形態でも良い(図1)。

図1●環境省によるオンサイト太陽光などへの補助金制度
図1●環境省によるオンサイト太陽光などへの補助金制度
(出所:環境省・令和4年度概算要求案)
クリックすると拡大した画像が開きます

経産省による「オフサイト」への補助金

 経済産業省の補助金では、FITやFIPを利用しない、かつ自己託送をしない形式の太陽光発電設備に対する補助金が新規に導入される。12月21日に補正予算36兆円が可決されたが、その中から135億円がこの補助金として使用される予定である。来年度の予算でも同様の補助金はあるが、早くから始めたい事業者は補正予算枠を利用するのが良いだろう。

 需要家自ら発電所オーナーとなることもできるし、PPAと呼ばれる第3者所有の形式にもできる。ポイントは、電力小売会社を経由して、新規導入した太陽光発電設備からの電気を自社で消費するスキームとすることである。補助割合が2/3から1/2と高いので、人気の補助金となりそうである(図2)。

図2●経産省によるオフサイト太陽光などへの補助金
図2●経産省によるオフサイト太陽光などへの補助金
(出所:経産省・令和3年度補正予算案の事業概要)
クリックすると拡大した画像が開きます

「営農型」は補助金が呼び水に

 営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)に使用できる補助金が「(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業」である。この補助金は、「PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」のうちのメニューの1つである。この補助金対象は、主に以下の形態の太陽光発電設備である。

  • 1. ソーラーカーポート
  • 2. 営農型太陽光
  • 3. ため池設置水上太陽光
  • 4. 廃棄物処分場設置太陽光
  • 5. オフサイトからの自営線設置太陽光

 営農型太陽光については、補助率が1/2であり、この補助金活用で、計画の実現が具体的になる案件は多いと予想される。そのほか、整地作業の不要なソーラーカーポートも設置が進んでおり、申請件数は多いと予想される(図3)。

図3●環境省による営農型太陽光などへの補助金
図3●環境省による営農型太陽光などへの補助金
(出所:環境省・令和4年度概算要求案)
クリックすると拡大した画像が開きます

自治体と連携した事業への補助金

 予算は28.5億円と小型だが、今後本格化しそうなスキームとして導入されるのが地方公共団体と連携してゼロカーボンエリアを目指すものだ。地域再エネ導入計画を策定し、その計画に基づいて、民間資金を活用して太陽光発電などを導入していくことになる。

 国全体としてネットゼロを目指すために、いくつかの先進的なゼロカーボンエリアを創出し、他がそれを手本にするという発想である。補助金の執行は、まず自治体が手を挙げる。そして、その自治体の計画が環境省事業として採用されれば、その自治体において、改めて公募が行われて、民間事業者が決定されることになるだろう(図4)。

図4●環境省による地域の脱炭素に関連した補助金
図4●環境省による地域の脱炭素に関連した補助金
(出所:環境省・令和4年度概算要求案)
クリックすると拡大した画像が開きます

「カ―ボンニュートラル・トップリーグ」も注目

 カーボンニュートラル・トップリーグ構想も予算が付けられることにより、本格的に動きだしそうだ。10億円の予算は、制度の運営予算に当てられると予想されるため、同構想参加者がこの補助金を直接、利用できるというわけではないだろう。

 しかし、きちんとした制度を国が運営することにより、CO2削減がカーボンクレジットとして認定されることは、経済的メリットだけではなく、「国からのお墨付き」的なメリットが享受できる。CSR(企業の社会的責任)が盛んになっている中、これを欲しがる企業も多いと予想される。義務を自らコミットし、それを達成する企業がどれくらい集まるか注目される(図5)。

図5●カーボンニュートラル・トップリーグ構想に関連した予算措置
図5●カーボンニュートラル・トップリーグ構想に関連した予算措置
(出所:経産省・令和3年度補正予算案の事業概要)
クリックすると拡大した画像が開きます

 2021年は気候変動リスクに焦点があたり、企業がそのリスク対応を本格化させた。その結果、再エネについて多様性が生まれ、FITが唯一の推進エンジンであった状態から脱却した。しかし、再エネの高コストの克服にはまだ数年必要だと考えられ、補助金をうまく活用して、再生可能エネルギーの導入を早期に図るのが良いと考える。