今月、米国証券取引委員会(SEC)は、上場企業に気候変動リスクの開示を求めるルールを提案した。日本でも東京証券取引所が上場企業に求めるコーポレート・ガバナンス・コードを改訂し、サステナビリティ(持続可能性)に関する情報を開示するように求めている。今回は、個々の企業に求められている気候変動リスク開示の動きについて、改めてまとめてみた。
投資家選別というプレッシャー
金融界が気候変動対策についてイニシアティブを持って活動する「ESG金融」はもはや無視できない存在となった。ESG金融は、環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)の3要素を加味した財務、非財務の両面から企業を評価する。特に気候変動に対するリスクとリスクコントロールは、投資家の最大関心事となっている。
世界最大の資産運用会社のブラックロックはカーボンニュートラルに向けた事業戦略を開示するよう、投資先企業に求めることを発表した。詳細な質問シートが企業に送付され、迅速な回答を求められる。ブラックロックからの投資を無視できる上場企業は少ない。
投資家からのプレッシャーは企業に情報開示を求める。情報開示をすると、その内容が投資家に晒されるため、投資家からのプレッシャーで企業行動が変わる。つまり、情報開示ルールは企業行動に大きな影響力を持つのである(図1)。