メガソーラービジネス

「営農型太陽光とバイオガス発電で地域循環を」、e-flat東平社長に聞く

メガソーラービジネス インタビュー

2019/07/10 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

建設・不動産事業から太陽光発電ビジネスに参入したe-flat(イーフラット、東京都中央区)は、事業用低圧案件を中心に太陽光発電の建設・販売からO&M(運営・保守)サービス、営農型を含めて自社発電事業で合計約30MWを手掛けてきた。政策的に事業用低圧太陽光への逆風が強まっていくなか、今後、再生可能エネルギー事業をどう発展させていくのか、東平豊三(とうひら・ゆたみ)社長に聞いた。

四国最大3.6MWの営農型

愛媛県松山市に出力3.6MWの四国で最大級のソーラーシェアリング(営農型太陽光発電所)を開発し、4月に稼働させました。パネル下の営農に関しては、どのような仕組みで取り組むのですか。

e-flatの東平豊三社長

東平 松山市に稼働した営農型メガソーラーでは、太陽光パネルの下で、仏壇などに備えるシキミ(樒)を育てます。約5.5haの農地部分に約2万3000本の苗木を植えました。営農の主体は、e-flatグループのe-farm(イーファーム、茨城県土浦市)になります。

 太陽光発電事業のO&M(運営・保守)に関してはe-flatグループのe-karat(イーカラット、東京都中央区)が担当し、e-karatとe-farmの社員が1人ずつ松山市に常駐し、連携してソーラーシェアリングを運営していくという体制にしました。

 実際には、e-karatとe-farmの社員は協力しつつ、発電と営農の両方を管理します。加えて、営農の繁忙期には、地域農業者からも応援に来てもらうことになっています。

ソーラーシェアリングには、さまざま形態がありますが、発電事業者と営農主体が異なるケースが多く、その場合、赤字の営農事業の穴埋めに地代としていくら払うのかなど、両者の連携がギクシャクしやすいと聞きます。

東平 そうですね。ソーラーシェアリングでは、農業をまったくの外部に委託してしまうと、うまくいかないケースが多いように感じます。そこで、営農型に取り組み始めた当初から、グループ内に農業生産法人を設立し、太陽光発電所のある地域と連携しつつも、自ら主体的に農業まで手掛けることにしました。

 e-flatでは、太陽光発電に参入した当初から、O&Mに関しては別会社としてe-karatが担当してきました。グループ会社ですが組織を分けることで、ある程度、緊張感を持ちつつO&Mからの問題点や課題を太陽光の建設サイドに求めていくことで、設計が改善されました。e-farmに関しても、営農を別会社にすることで、連携しつつソーラーシェアリングの最適な形を探っていきたいと思います。

FIT低下で「営農型」有望に

現在、国内で稼働している営農型太陽光の多くは、固定価格買取制度(FIT)の初期認定案件で、「農地転用」を目指したものの実現できず、次善の策として、「一時転用」という形で発電事業を行うケースが多いように思います。その場合、発電が主なので、遮光率50%程度までパネルを詰めて並べ、作物は影でも育つミョウガやサカキなどが選ばれます。

東平 今のソーラーシェアリングにそうした側面があることは認識しています。松山市のサイトでも、遮光率50%でも育つシキミを植えましたが、これは発電事業がメインだからというのではなく、本社のある東京から遠く、限られた人員で太陽光と農業を運営するという制約から、手間のかからない作物にしたかったからです。

 e-flatでは、松山を含めて合計5MWのソーラーシェアリングを運営していますが、千葉県芝山町の営農型サイトでは、ブドウの栽培に取り組んでいます。ブドウは元々、棚が必要なので、太陽光設備と構造を共有できるなど、建設コストで利点もあります。シキミに比べると手間がかかりますが、地理的に容易にバックアップできます。

営農型太陽光は、架台など建設コストが高く、発電事業としては効率が悪いため、FITによる売電単価が下がってくると採算が合わないと言う人もいます。

東平 いま全国に稼働しているソーラーシェアリングは、FIT初期の高額な売電単価のケースが多いのは確かです。しかし、今後の野立て型の事業用太陽光発電の在り方を考えると、低圧クラスの小規模案件は、むしろ営農型の方が有利に思います。

 ソーラーシェアリングの理想的な姿は、発電事業と営農、運営を同じ主体が手掛けることです。これには発電事業者が自分で農業を手掛けるケースのほか、地域の農業者が自分の土地に太陽光パネルを設置して発電事業を行うパターンも有望です。そうすれば、売電と農業で2つの収入が得られるので、経営が安定化します。

 架台の柱が高くなる分、建設コストは多少上がりますが、FIT開始当初に比べ、システムコストのほか、施工コストもかなり下がってきました。設置高が高いため、太陽光パネルの目視チェックが難しいなど運営で不利な面もありますが、e-flatの営農サイトでは、パネルごとに発電量を監視できるシステムを導入して、O&Mも効率化しました。

 そもそも営農型の場合、土地代が安いので、事業的に有利です。太陽光発電の保守と営農を一緒に担当できるような人材を育て、両事業を効率的に運営できれば、売電単価が10円台になっても事業性を確保できると見ています(図1)。

図1●愛媛県松山市に3.6MWのソーラーシェアリングを稼働
(出所:日経BP)
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FIT10円台では金融機関が慎重に

逆に言うと、単なる「野立て型太陽光」は、FIT単価が10円台まで下がってくると、新規開発は難しくなってきますか。特に、連系出力50kW未満の事業用低圧太陽光は、1つの敷地を複数の案件に分割することを禁止されたり、架台の設計基準の強度が厳しくなるなど、政策変更でコストアップの要因が増えています。

e-flatの東平豊三社長

東平 事業用低圧太陽光には、政策的に逆風になっています。それでもコスト低下が進んでいるので、FIT単価10円台でも、新規開発で表面利回り12%、IRR(内部収益率)9~10%程度をなんとか確保できると思います。ただ、以前に比べると、ほとんど余裕がなくなっているので、金融機関は融資に慎重になり、資金調達が壁になってきます。

 FIT単価10円台まで下がると、高圧や特別高圧クラスまで大規模化しないと、新規開発は難しいと思います。やはり、50kWというのは、施工や運営の効率が悪いのです。その意味で、このクラスでは営農型が有望な選択肢になります。

 事業用低圧太陽光の事業では、「低圧分割の禁止」となった政策変更の影響が大きかったように感じます。e-flatでは当初、2MWを40区画の低圧案件に分割して開発し、複数の投資家に販売するというパターンが多かったのですが、これなら施工効率も高く、完成後もまとめて運営すれば、高圧案件と同じような効率で管理できます。

経産省の有識者会議などでは、安全性や持続性の面で事業用低圧案件への評価は低く、「低圧分割」は、法の隙間を利用した「悪者」のように見なされました。

東平 確かに、事業用低圧案件には、設計や施工で問題のあるものが目立つのも事実です。しかし、まじめに作ってきた事業者も多いことは分かってほしいと思います。設計基準の強化で言えば、e-flatでは当初から、風速35~40m/sを想定して設計し、単管パイプ製の架台などは検討したことさえありません。そのため、これに関しては政策変更の影響はありません。

 ただ、「低圧分割=悪」にように捉えられたのは、たいへん残念です。例えば、2MWを40区画に分割するようなケースでは、連系協議や土地開発など、「みなし高圧」として高圧案件と同じようなプロセスでやってきました。

 また、電源としての安定性でいえば、約50kWずつバラバラに系統に接続されているので、不具合があっても送電が停止するのは1つのサイト(約50kW)で済みます。2MW全部が停止する高圧案件に比べると、系統への負担は小さいとも言えます。多くの国民が投資をして太陽光を普及させるという点で、事業用低圧案件は優れています。経産省の委員会では、こうした分割手法のプラス面がまったく評価されませんでした。

バイオガスと営農型太陽光を連携

事業用低圧案件の新規開発が難しくなるとすると、今後、どのような事業戦略を描いていますか。

e-flatの東平豊三社長

東平 これまでに約30MWの太陽光を開発し、そのうち約3分の2を販売し、3分の1を自社で保有して発電事業を行っています。販売した案件は、基本的にすべてO&Mサービスを提供しています。

 ここまでO&M事業が大きくなってくると、その定期収入で企業経営としては、かなり安定してきます。そのため、今は新規開発には力を入れていません。ただ、FIT初期に認定を取得したまま電力会社の都合で建設できなかったものもあるので、そうした積み残した案件を出来るだけ早く完成させることに取り組んでいます。

太陽光関連の企業では、FIT単価の低下に伴い、電力小売りに参入したり、風力など他の再生可能エネルギーの開発に乗り出したりすることで、引き続き事業拡大を志向する動きも目立ちます。

東平 現在、新規開発で取り組んでいるのは、バイオガス発電です。食物残渣や農畜産系廃棄物などを嫌気発酵させて可燃性ガスを取り出し、エンジン発電機を稼働させるものです。1MW未満の小規模な設備をパッケージ化して低コスト化できないか探っています。

 バイオガス発電に取り組んでいるのは、ポストFITも睨んでいます。太陽光発電所を開発・販売し、O&Mを担っている企業の責任として、FITの買い取りが終わった後も、オーナーの希望次第で、さらに発電事業を続ける方向性をサポートしたいと考えています。

 そのために不安定電源である太陽光を少しでも高く売るため、夜も発電し、調整電源として利用できるバイオガス発電と組み合わせることで、太陽光の電気の価値を高めたいのです。住宅太陽光の「卒FIT」の余剰買取サービスでは、7~8円/kWh程度の単価が中心のようですが、将来的に10円/kWh程度で買い取れるような仕組みを作っておきたいのです。

 加えて、ソーラーシェアリングとの連携も可能です。バイオガス発電では、嫌気発酵で排出される残渣の処理が課題ですが、それを肥料などソーラーシェアリングの農業で活用できれば、エネルギーと食糧の生産で地域循環が可能になります。