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「バイオマス発電はFITに合わない」、バイオマス産業社会ネットワーク・泊みゆき理事長に聞く(page 3)

メガソーラービジネス・インタビュー

2019/10/10 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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FIT後、バイオマス発電は赤字に

ーー「燃料費ゼロ」の太陽光や風力と違い、バイオマス発電では、燃料コストが事業費全体の8割程度を占めると言われます。FIT期間が終わっても事業として成り立ちますか。

 燃料の持続可能性に関して、最初に述べましたが、バイオマス発電の本質的な課題、そして、それをFITで支えることの問題点は、ここにあります。

 北海道立総合研究機構林産試験場の古俣寛隆氏らの研究によると、現在、国内にある、未利用木質または一般木質バイオマスを使った発電所のほとんどは、20年間のFIT期間が終われば、十分な利益を上げることは難しいとの結論になりました。

 現在、FITの下で、輸入材を使った大規模なバイオマス発電が成り立つのは、相対的に高い買取価格が設定されたからです。木質燃料の調達コストでは、海外からの輸入材より国内の間伐材などの方が安いのですが、まとまった量を安定的に確保できるという点から、輸入チップやペレットを主体に事業計画を立てています。

 古俣氏らのシミュレーションによると、FITなしでも20%以上の利益率が出せる木質発電施設は、国内間伐材を使った30MWの大規模発電所か、同じく間伐材を使った熱利用を主体(発電1443kW、熱3988kW)とした小規模コージェネレーション(熱電併給)施設になります。輸入バイオマスを使った施設は30MW規模でも赤字に転落します。

図3●バイオマス発電の経常利益率の推移
(出所:シンポジウム「持続可能なバイオマスの条件とは~経済循環とLCAの視点から考える」小俣寛隆氏・資料)
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 この試算で十分な利益を維持できる数十MW級の間伐材利用の発電所や熱主体の小規模コージェネは、現在のFIT発電施設では存在しません。FITの下では、コージェネにするより、少しでも多く発電した方が有利ですし、地域から間伐材を集めて燃料にする場合、大規模化には限界があるからです。

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