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「営農型も組み込みたい」「台風の影響は?」、カナディアンのインフラ投資法⼈・中村代表

メガソーラービジネス・インタビュー

2020/03/16 09:31
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 カナディアン・ソーラー・インフラ投資法⼈(東京都新宿区)は、その名の通り、太陽光パネル大手のカナディアン・ソーラー・グループによる、日本国内の太陽光発電所を投資対象としたインフラファンドである。これまでの7件の上場銘柄の中で、群を抜いて規模が大きく、市場を代表する投資法人となっている。資産運用を担うカナディアン・ソーラー・アセットマネジメント(同)の中村哲也社長に、投資法人や資産運用から見た太陽光発電所のあり方や、今後の可能性などについて聞いた。中村社長は、同インフラ投資法人の代表者(執⾏役員)でもある。

――カナディアン・ソーラー・アセットマネジメントやインフラ投資法人の概要を教えてください。

カナディアン・ソーラー・アセットマネジメントの中村哲也社長
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法⼈の代表者(執⾏役員)でもある(出所:日経BP)

 現在、インフラ投資法人に組み込み、カナディアン・ソーラー・アセットマネジメントで運用しているのは、国内の21カ所の太陽光発電所で、太陽光パネルの合計出力は約120MW、資産規模では評価額ベースで約490億円となっています。

 いずれも、国内で太陽光発電所の開発を手がけている、カナディアン・ソーラー・プロジェクト(東京都新宿区)によって開発された案件です。

 投資法人では、目標として、将来的に資産規模1000億円を掲げています(上場時の関連ニュース)。カナディアン・ソーラー・プロジェクトのパイプライン(開発中・建設中の案件)のほかにも、他社が開発・運営している太陽光発電所も取得することも選択肢になります。

 インフラ投資法人が太陽光発電所に係る資産を所有し、その発電所の資産運用をカナディアン・ソーラー・アセットマネジメントが担当し、O&M(運用・保守)は、カナディアン・ソ-ラーO&Mジャパン(同)に委託しています。

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資産規模が大きく地域も分散
(出所:カナディアン・ソーラー・インフラ投資法⼈)
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 運用中の発電所は、太陽光パネルの出力で636kW〜47.7MWと、さまざまな規模となっています。太陽光パネルは、いずれもカナディアン・ソーラー製で、EPC(設計・調達・施工)サービスやパワーコンディショナー(PCS)は発電所ごとにさまざまです。

――所有者と運用者を別会社にするのは、効率が悪いように思いますが、どのような理由があるのでしょうか。

 東京証券取引所(東証)のインフラファンド市場の上場規定に基づくものです。確かに太陽光発電所について言えば、設備の所有者が発電事業も営んでいるのが、自然な形です。しかし、上場インフラファンド市場は、再エネ発電所だけでなく、ほかの社会インフラも想定して立ち上げられた市場です。

 インフラファンド市場の先例となったのが、不動産投資信託の上場市場であるJ-REIT(J-real estate investment trust:Jリート)です。東証に、2月末時点で64銘柄のJリート投資法人が上場しています。

 この市場に上場している投資法人は、不動産のハードアセット(施設などの不動産)だけを所有し、賃貸収入で成り立つ事業の仕組みとなっています。ビルであればテナント企業に貸す、住居用のマンションであれば個人に貸すのです。

 その中には、例えば、ホテルや介護施設のような、固有のオペレーション(運営)が必要な施設もあります。この場合も、投資法人はホテルなどの施設を所有して、運営事業は手がけていません。運営は、別の会社が担っています。これも、市場への上場の規定として、同じように不動産の所有者と運用者を分ける規定があるためです。

 東証がインフラファンド市場を創設した背景に、社会インフラに民間の資金を入れていきたいという国の意向や施策があると思います。それを後押しする意味で、Jリートの仕組みである、アセットの所有と運営を分ける仕組みが踏襲されています。

 そうは言いつつも、インフラ投資法人の太陽光発電所の賃借料収入は、事実上、固定価格買取制度(FIT)に基づく売電収入にリンクするように設定されています。投資法人ごとに違いはありますが、施設の所有比率と事業の比率が一致している場合、通常はおおむね売電収入に応じた売上高になります。

 われわれの場合、発電量の予測値の超過確率50パーセンタイル(P50)を基準に、7割を基本賃料、3割は実績連動という賃料を設定しています。

 P50というのは、過去20年間の日射量の分布から想定して、50%の確率で達成可能と見込まれる発電量、平たくいうと、平年並みの日照量で予想される発電量です。

 インフラ投資市場の良いところは、このように太陽光発電の売電収入を、うまく取り込んだ形で投資の間口を広げられることです。

 太陽光発電所というと、これまでは機関投資家や資産家と呼ばれるような富裕層による投資対象だったと思います。発電所の開発に投資する、あるいは、そこまでの規模ではなくても、中小企業や富裕層の個人で発電設備を導入しても、その投資資金は大きなものになるかと思います。

 それに比べて、われわれも含めて、上場インフラ投資法人では、上場時の1口あたりの投資口価格はおよそ10万円(カナディアン・ソーラー・インフラ投資法⼈の投資口価格は、3月11日の終値で11万1100円)で、1口から買えるので、小口で太陽光発電設備に投資できるのが利点です。

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