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「営農型も組み込みたい」「台風の影響は?」、カナディアンのインフラ投資法⼈・中村代表(page 3)

メガソーラービジネス・インタビュー

2020/03/16 09:31
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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――プロジェクトファイナンス案件を組み込むことが難しかったというお話を、もう少し詳しく教えてください。

 プロジェクトファイナンスの手法を活用した太陽光発電所の開発では、SPC(特別目的会社)が土地や太陽光発電設備に要する資金を、融資などの負債性の資金とエクイティで調達しています。

 稼働後は、FITの売電期間(20年)のうち、17~18年間で元本を含めて負債を返済するような仕組みが多いかと思います。

 インフラ投資法人は、太陽光発電設備や土地だけを買う形になります。この設備や土地に対して前述の17~18年のプロジェクト・ローンが確定している場合、インフラ投資法人が取得する際には、ローンを前倒して期限前弁済することはできますが、残りの期間分の金利も払うことになります。これをブレイクファンディングコストと呼びますが、これが相当の額になるので、投資法人には組み込みにくいのです。

カナディアン・ソーラー・アセットマネジメントの中村社長
(出所:日経BP)

 東証の上場の規定では、SPCのエクイティを取得することは可能ですが、SPCの中で一体となっている、資産保有と事業運営をそれぞれ別の会社に分けることが条件です。

 SPCの中でこの資産保有と事業運営を分離すること、さらにプロジェクトファイナンスのローンなどを期限前弁済する費用対効果を考慮すると、インフラ投資法人に組み込むという選択には至りませんでした。

――それ以外の理由で、所有を断念したカナディアン・ソーラー・プロジェクトの開発案件はありますか。

 あります。カナディアン・ソーラー・プロジェクトの設立当初は、われわれのカナディアン・ソーラー・アセットマネジメントも、インフラ投資法人も存在しませんでした。このため、稼働後に他社に売却した案件もあります。

 その後は、前述の山口や青森の案件のような例外を除けば、基本的にインフラ投資法人で購入しています。

 また、投資基準に合わずに断念したものもあります。営農型太陽光(ソーラーシェアリング)の案件です。

 本当は、営農型は、ぜひ所有したいと願っていて、今後も積極的にチャレンジしていきたい分野です。

 カナディアン・ソーラー・プロジェクトで1カ所、営農型の太陽光発電所を開発しました。お茶畑を活用したものです。しかし、インフラ投資法人による取得は断念せざるを得ませんでした。

 営農型は、単なる太陽光発電ではありません。農家の収入源を多様化して農業の活性化につながるといった、国の施策に寄与できる分野です。そこに投資の立場から関与できるなど、より社会的な意義が大きい機会となります。

 耕作している土地ですから、日射に恵まれていて、太陽光発電所の条件としても魅力的です。

 問題は、農地転用の一時許可でした。営農型の場合、支柱を立てている場所を農地転用します。認められる農地転用が、恒久転用の場合は問題ありませんが、一時転用の場合は、最長で10年間です。

 第三者のお金を預かるという投資の立場から見ると、10年後はどうなるかわからないというリスクは、大きいのです。

 営農型の趣旨は、農家が営農しながら太陽光発電を行うもので、農地転用を一定の期間にとどめるのは、適切に営農していない案件への対策であることは理解しています。

 農業委員会に相談すると、10年後の時点で、農作物の収穫量が近隣で収穫できると予想される量の8割から下回っていた場合、まじめに営農しているのならば、作物を変えることも含めて一緒に改善策を考えましょうと、たいへんに親身でした。

 しかし、投資の尺度からは、一時転用を延長できない恐れがあるという状況への挑戦を、うまく乗り越えられませんでした。

 それでも今後、営農型の案件は、社会的意義もあり、発電の立地としても魅力的なので再度挑戦していきたいと思っています。

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