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「再エネはFIT後にまた盛り返す」、再エネ長期安定電源推進協会・眞邉会長に聞く(page 5)

メガソーラービジネス・インタビュー

2020/03/27 01:00
金子 憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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EPCコストの透明化

ーー国内でも、FITの後の本命は、コーポレートPPAを想定しているのですね。ただ、そのためには、国内の託送料金の単価を考えると、売電単価10円/kWh以下でも発電事業が成り立つことが前提になります。

眞邉 世界の流れを見ると国内の太陽光のコストはさらに下がっていくと見ています。 日本で太陽光のコストが欧米ほどには下がらない原因の一つに、EPCコストがあります。海外ほど透明性が高くなく、例えば、太陽光パネルのコストにもEPC側の利益が上乗せされているといった状況で、正確な資材や工事の単価を把握できないのです。この状況も、少しずつですが欧米の基準に近づき、透明性が増しています。

 例えば、シャープのEPCサービスが良い例です。台湾の鴻海精密工業の傘下に入って以降、シャープの提示するEPCサービスのコストは世界基準に変わりました。海外と日本の人件費の差を考慮して、架台もプリセット(事前に調整や一部を組み立てたもの)に変えるなど工夫しています。他社のEPCサービスにも影響していくでしょう。

再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)の眞邉勝仁会長理事
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 私は、ある講演で、売電単価8.5円/kWhで太陽光発電所を開発・運営できる場合があるとの試算を示したことがあります。その試算ではEPCコストは約100円/W、O&Mのコストが約1.5円/W、金利が2%で80%の融資を想定しました。これでもエクイティの利回り(エクイティIRR=内部収益率)は約6.5%を確保できました。実際にはこのほかに土木造成などが生じるので、現時点でこれをFITやPPAでも実現するのは難しいですが、2年後であれば実現できるかもしれません。

ーー2年後を見通せば、国内でも、EPCコストが下がり、コーポレートPPAが成立すると可能性があるということですか。

眞邉 実は、すでにREASPの会員間で、コーポレートPPAの勉強会をはじめる準備を進めています。PPAモデルの再エネ市場が立ち上がるためには、まず契約内容が標準化されることが必要です。FIT初期にプロジェクトファイナンスでもこうした動きがあり、契約が定型化されたことで、一気に広がりました。

 コーポレートPPAでも、コスト削減と並行して、契約やスキームの標準化が必須になります。このために弁護士を招いて契約内容を検討したり、先行する海外の発電事業者や金融機関に自国の例を教えてもらうつもりです。

 FITの売電単価が下がると、事業性が落ちて太陽光発電の開発数が減っていくとみられがちですが、コストが十分に下がれば、同水準のIRRを確保できます。FITに頼らずにPPAでも投資対象になる案件が作れれば、再び太陽光が爆発的に開発されていく局面に変わっていくのです。

 太陽光の業界は、コスト構造や制度の変化が激しく3~4カ月が1年という感じです。こうした急速な変化の先に「電源の半分が再エネ」という時代があります。REASPの活動がこうした方向を加速させ、時代を先導できたらと考えています。

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