太陽光発電所に特有の雑草の特徴
同社の除草剤のこれまでの主なユーザーだった工場の敷地内などの緑地管理や個人の住宅などに比べても、太陽光発電所には雑草が生えやすく、しかも種類が多いという傾向があるという。
この理由は、長く遊休地だった土地を使うことに原因があるのではないかという。
屋外でしかも日射が良いという、ただでさえ雑草が生えやすい条件に加え、遊休地は手入れをされずに放置されてきた場合が多い。周辺から飛んできた雑草の種が発芽することを繰り返す中で、雑草がより育成しやすい状況となっているのではないかと推測している。
種類の多さでは、例えば、工場の敷地内や住宅では、除草したい雑草がタンポポやクローバーなど少ない品種にとどまる場合が多い一方、太陽光発電所では、セイタカアワダチソウに代表される、背丈の高い雑草まで生えてくる。ほかにササやススキ、チガヤ、スギナ、ギシギシ、ヨモギ、ヒメジョオンなどを、太陽光発電所によく生えている雑草として挙げている(図3)。中には枯れにくい品種もあるという。
雑草は、種を発芽させないのが理想的という。これは除草剤の活用だけでなく、草刈りする場合でも同じという。
草刈りの場合、雑草が種をつける前に刈るのが、その後の除草を楽にするためにもより効果的ということになる。しかし、現在の太陽光発電所における草刈りは、太陽光パネル低部と比べた雑草の高さが判断の基準となっていて、種の状況を考慮して草刈りの時期を決めることはほとんどない。草刈りの工夫のしどころの1つかもしれない。
除草剤は、こうしたことも留意しながら、適切な時期に適切な散布を繰り返すことで、3年程度でその雑草が生えにくい環境に変わってくるという。こうなると散布の回数や量を減らしても、同じ状況を維持できるようになる。これによって、草刈りに比べてコストが下がっていくと強調している。
その雑草がまだ生えていない状況で散布することで、散布量を適量の半分程度に減らしつつ、生えない環境を維持するといった工夫も可能になる。
除草剤の活用で、長年散布を続けると雑草が生えなくなり、地表の土がかさかさとなり飛散しやすくなるという問題が指摘されることがある。
こうした問題は、雑草の育成状況が変わってきたにも関わらず、当初の状況と同じ時期や量での散布を繰り返すことで生じる場合があり、状況に合わせて散布量や回数を調整したり、また散布する除草剤の種類を変えるといった工夫によって防げるという。
除草剤には、雑草の品種別のほかに、粒状と液状の違いがある。同社では、粒状を推奨することが多いようだ(図4~6)。
いずれもある程度の高さまで刈ってから散布するほうが、より効果が高まる点は同じである。
粒状の除草剤は、粒状のまま適切な量を撒く。雑草は土に浸透した除草剤の成分を根から吸収する。雑草が生える前や生えはじめに散布するのが最も効果的で、持続性に利点がある。
一方、液状の除草剤は、雑草の状態によって薬剤を水で適切な比率に希釈した状態で噴霧する。雑草は茎や葉から除草剤を吸収するが、根から吸収するタイプもある。散布してから枯れるまでの期間が短く、即効性に利点がある。
また、太陽光発電所は、平坦な場所だけでなく、傾斜地を含む場合がある。除草剤を使うのは、平坦な場所のみとなる。傾斜地は、雑草などの植物の根によって形状を維持しているため、除草剤を使って雑草の根を枯らしてしまうと崩れてしまうためである。
草刈りのみで雑草対策を続けてきた太陽光発電所が、同社の除草剤を使うようになった例もある。
この発電所では、刈り続けることで雑草の茎が太くなってきてしまい、加えて、その状況のため鳥が多く集まり、太陽光パネルの上に頻繁に糞が落とされるようになった。そこで、除草剤を使うことで、この雑草が生えない環境に変える対策に切り替えたという。