メガソーラービジネス

太陽光発電所に特有の雑草と、「除草剤を使いこなすコツ」

きめ細かい提案でメガソーラーで採用を増やすレインボー薬品

2020/09/09 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 太陽光発電所において、雑草への対応は全国各地で共通する悩みとなっている。屋外で自然にさらされ続ける環境のため、施工時には一時的に雑草が少ない状態となっても、それは長続きしないことがほとんどだ。

 稼働後1~2年もたてば、ほとんどの地上設置型の太陽光発電所は、多種多様な雑草が生い茂る状態となる。

 そこで、さまざまな雑草対策が試みられている。

 例えば、関東地方の工場跡地に立地する出力約2MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)では、当初はクローバーを植えて雑草の育成を少しでも抑えたいと考えていた。

 しかし、この方法による抑制効果には限りがあり、またクローバーそのものが蛾の育成環境として適した状況となってしまったことから、クローバーをすべて除去した上、雑草が高く伸びてきた時には刈ったり、または、除草剤などを使う方法を組み合わせるようになった(図1)。

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図1●複数種の除草剤などを試している様子。関東にある工場跡地のメガソーラー
(出所:日経BP)
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 敷地内で伸びてくる雑草には、さまざまな種類がある。しかも毎年のように異なる品種の雑草が伸びてくる。一律の対策では対応できない。そこで複数種の除草剤や成長抑制剤を散布する場所を分けて効果を確かめながら使っている。

 このように、防草・除草対策はどれも一長一短で、万能な方法は現在のところ存在しない。その中で今回は、メガソーラー向けに供給実績を伸ばしている除草剤ベンダーであるレインボー薬品(東京都台東区)から見た太陽光発電所の雑草対策を紹介する。

 同社は園芸用の肥料や殺虫剤などを祖業とし、40年間以上にわたって培ってきたノウハウを強みに、現在は除草剤を中心に事業を展開している。2002年に住友化学の子会社となり、2013年に太陽光発電所向けに除草剤を展開しはじめた。

 雑草の種類によって効果の高い薬剤が異なることから、ひと口に除草剤といっても製品は多様となっている(図2)。

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図2●多種多様な雑草に対応した製品を揃える
(出所:レインボー薬品)
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 竹のような品種に対応した製品まで取り揃えている。竹の場合は、節目を切ったり穴をあけたりして、そこに原液のまま注入する。竹は地中で根がつながっているため、タケノコの時期を目安に注入すると、より大きな効果が得られるという。

 こうした除草剤は「ネコソギ」というブランドで販売しており、従来からのホームセンターでの販売実績や知名度が、太陽光発電所向けの展開でも生きているという。

 除草剤の分野は、どの企業も似たような成分と効果の製品を販売している。その中で、このブランド力の差は大きいとし、さらに、メガソーラー向けでは発電事業者やO&M(運用・保守)に対するフォローも強みとしている。

 例えば、太陽光発電所の規模が大きい場合、同社が現地に出向いて除草剤の導入に向けて調査した上、アドバイスをする場合もある。

 屋外の自然環境は、机上の資料や考察だけではわからないことが多いためで、現地ではその太陽光発電所の内外の環境や状況、除草剤を使う際の安全性などを調査する。

 例えば、近くに農地や宅地、学校、道路、河川、水路などがある場合、その状況や関係者の心情によっては、除草剤の使用範囲を限定したり、除草剤の使用そのものを断念するように助言することもある。

 導入後にも、敷地内の雑草の状況に合わせて最適な散布方法を助言する場合がある。例えば、ムラが少ないように散布するための方法や、状況によっては適用の範囲内で多めの薬量を勧める場合などがある。

 雑草の種類に応じて、薬剤を変更を勧める場合もある。

太陽光発電所に特有の雑草の特徴

 同社の除草剤のこれまでの主なユーザーだった工場の敷地内などの緑地管理や個人の住宅などに比べても、太陽光発電所には雑草が生えやすく、しかも種類が多いという傾向があるという。

 この理由は、長く遊休地だった土地を使うことに原因があるのではないかという。

 屋外でしかも日射が良いという、ただでさえ雑草が生えやすい条件に加え、遊休地は手入れをされずに放置されてきた場合が多い。周辺から飛んできた雑草の種が発芽することを繰り返す中で、雑草がより育成しやすい状況となっているのではないかと推測している。

 種類の多さでは、例えば、工場の敷地内や住宅では、除草したい雑草がタンポポやクローバーなど少ない品種にとどまる場合が多い一方、太陽光発電所では、セイタカアワダチソウに代表される、背丈の高い雑草まで生えてくる。ほかにササやススキ、チガヤ、スギナ、ギシギシ、ヨモギ、ヒメジョオンなどを、太陽光発電所によく生えている雑草として挙げている(図3)。中には枯れにくい品種もあるという。

図3●太陽光発電所で多く見かける雑草
ササ、ススキ、チガヤ、スギナ、セイタカアワダチソウ、ギシギシ、タンポポ、ヨモギ、ヒメジョオン(出所:レインボー薬品)
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 雑草は、種を発芽させないのが理想的という。これは除草剤の活用だけでなく、草刈りする場合でも同じという。

 草刈りの場合、雑草が種をつける前に刈るのが、その後の除草を楽にするためにもより効果的ということになる。しかし、現在の太陽光発電所における草刈りは、太陽光パネル低部と比べた雑草の高さが判断の基準となっていて、種の状況を考慮して草刈りの時期を決めることはほとんどない。草刈りの工夫のしどころの1つかもしれない。

 除草剤は、こうしたことも留意しながら、適切な時期に適切な散布を繰り返すことで、3年程度でその雑草が生えにくい環境に変わってくるという。こうなると散布の回数や量を減らしても、同じ状況を維持できるようになる。これによって、草刈りに比べてコストが下がっていくと強調している。

 その雑草がまだ生えていない状況で散布することで、散布量を適量の半分程度に減らしつつ、生えない環境を維持するといった工夫も可能になる。

 除草剤の活用で、長年散布を続けると雑草が生えなくなり、地表の土がかさかさとなり飛散しやすくなるという問題が指摘されることがある。

 こうした問題は、雑草の育成状況が変わってきたにも関わらず、当初の状況と同じ時期や量での散布を繰り返すことで生じる場合があり、状況に合わせて散布量や回数を調整したり、また散布する除草剤の種類を変えるといった工夫によって防げるという。

 除草剤には、雑草の品種別のほかに、粒状と液状の違いがある。同社では、粒状を推奨することが多いようだ(図4~6)。

図4●粒状と液状の違いと特徴
(出所:レインボー薬品)
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図5●粒状の例。左が散布前、右が6カ月後
粒状の除草剤「ネコソギメガ」を30g/m2散布した例(出所:レインボー薬品)
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図6●液状の例。左が散布前、中が3日後、右が7日後
液状の除草剤「ネコソギクイックプロFL」の100倍希釈液を100ml/m2散布した例(出所:レインボー薬品)

 いずれもある程度の高さまで刈ってから散布するほうが、より効果が高まる点は同じである。

 粒状の除草剤は、粒状のまま適切な量を撒く。雑草は土に浸透した除草剤の成分を根から吸収する。雑草が生える前や生えはじめに散布するのが最も効果的で、持続性に利点がある。

 一方、液状の除草剤は、雑草の状態によって薬剤を水で適切な比率に希釈した状態で噴霧する。雑草は茎や葉から除草剤を吸収するが、根から吸収するタイプもある。散布してから枯れるまでの期間が短く、即効性に利点がある。

 また、太陽光発電所は、平坦な場所だけでなく、傾斜地を含む場合がある。除草剤を使うのは、平坦な場所のみとなる。傾斜地は、雑草などの植物の根によって形状を維持しているため、除草剤を使って雑草の根を枯らしてしまうと崩れてしまうためである。

 草刈りのみで雑草対策を続けてきた太陽光発電所が、同社の除草剤を使うようになった例もある。

 この発電所では、刈り続けることで雑草の茎が太くなってきてしまい、加えて、その状況のため鳥が多く集まり、太陽光パネルの上に頻繁に糞が落とされるようになった。そこで、除草剤を使うことで、この雑草が生えない環境に変える対策に切り替えたという。