メガソーラービジネス

「メガソーラーランキング・TOP40」2020年版、100MW超が6サイトに

九州、青森、北海道の案件を抜き、岡山の2サイトがトップ2に

2020/11/19 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ

数十MWクラスの完成が相次ぐ

 2019年から2020年にかけ、国内有数の規模となるメガソーラー(大規模太陽光発電所)が次々と完成し、国内の「メガソーラーランキング」の顔ぶれが大きく変わっている。固定価格買取制度(FIT)初期の認定案件で、大規模な土木造成を伴うような工期の長いプロジェクトがようやく完成時期に来たことに加え、2015年に北海道電力が出した蓄電池併設を接続条件としたメガソーラーが完成し始めたことなども背景にある。

 メガソーラーを出力規模の大きい順にランキングする場合、太陽光発電所の「出力」として、太陽光パネルの設置出力を示す「パネル出力(直流ベース)」か、送配電線に送電できる最大出力である「連系出力(交流ベース)」のどちらを採用するかで、順位が異なってくる。

 FIT開始以来、売電単価の低下に伴い、連系出力を上回るパネル出力を設置する「過積載(積み増し)」の度合い(過積載比率)が高まっており、年を経るごとに連系出力とパネル出力の差が大きくなっている。

 一般的に、発電事業者はパネル出力ベースの出力を公表することが多い。実際、年間を通した発電量で考えると、太陽光パネルの設置を多くすることが効果的になる。また、地域に与えるインパクトでは、連系出力でなく、パネルの枚数が重要になる。そこで日経BP・メガソーラービジネス編集部では、2020年11月時点での稼働済みメガソーラーをパネル出力ベースでランキングしてみた(図1)。

図1●パネル出力による稼働済み国内メガソーラーランキング・1~20位(2020年11月現在)
(出所:日経BP・メガソーラービジネス編集部調べ、 「-」 は情報なし、21~40位は最終ページに掲載)
クリックすると拡大した画像が開きます

岡山県内にトップ2が立地

 トップは、「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」の257.7MWで、2位が「瀬戸内Kirei太陽光発電所」の235MW。いずれも岡山県に立地している。200MW越えは、ここまでで、3位「ユーラス六ヶ所ソーラーパーク」の148MWを大きく引き離している(図2)(図3)。

図2●「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」
(出所:パシフィコ・エナジー)
クリックすると拡大した画像が開きます
図3●「瀬戸内Kirei太陽光発電所」
(出所:日経BP)
クリックすると拡大した画像が開きます

 以下、4位「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク」の111MW、5位「ソフトバンク八雲ソーラーパーク」の102.3MW、6位「鹿屋大崎ソーラーヒルズ太陽光発電所」の100MWと続き、ここまでが100MWを越えている。

 国内の稼働済みメガソーラーのトップ争いでは、2013年5月に「日産グリーンエナジーファームイン大分」(26.5MW)が運開して以降、次々と「国内最大」を更新する巨大な太陽光発電所が稼働し始めた。2013年11月に稼働した「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」(71.6MW)、2014年4月に運開した「大分ソーラーパワー」(82MW)と、ここまでは、いずれも九州地方の沿岸工業地帯の未利用地を活用したケースだった。

 これは、海岸沿いの広大な工業団地の場合、もともと平坦で本格的な造成が必要ない上、工業地域のため系統連系する特別高圧送電線が近いなど、「特高メガソーラー」にとって有利な条件が揃っていたことが早期の完成につながった。海岸沿いの立地では、地震による津波のリスクがあり、プロジェクトファイナンスの組成には不利だが、九州の場合、本州の太平洋岸に比べると、相対的に津波リスクが少ないことも、資金調達を容易にした。

青森と北海道の案件が九州サイト抜く

 2015年になると、青森県と北海道にこれら九州の3サイトを上回るサイトが完成し始めた。2015年10月に「ユーラス六ヶ所ソーラーパーク」(148MW)、2015年12月に「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク」(111MW)が完成し、その時点の1位と2位となった(図4)(図5)。

図4●「ユーラス六ヶ所ソーラーパーク」
(出所:日経BP)
クリックすると拡大した画像が開きます
図5●「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク」
クリックすると拡大した画像が開きます

 この2つのメガソーラーは、いずれも内陸の工業団地で未利用だったエリアを活用した点で共通している。工業用地とはいえ内陸にあることもあり、海岸沿いに比べると相対的に土木造成に時間がかかることもあり、完成時期が遅くなった。

 148MWの「ユーラス六ヶ所ソーラーパーク」は、2015年10月に稼働して以降、3年間、国内最大のメガソーラーの地位を維持してきた。

 ようやくこれを超え、国内で初めて200MW越えを果たしたのが、岡山県の2つメガソーラーだ。2018年10月に稼働した「瀬戸内Kirei太陽光発電所」(235MW)、そして、その1年後の2019年12月には、「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」(257.7MW)が稼働し、現時点で国内トップ2となっている。

 これら2つのメガソーラーは、いずれもかつて別の用途で開発されてきた広大な未利用地を活用した。「瀬戸内Kirei太陽光発電所」は塩田跡地、「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」はリゾート開発とゴルフ場開発の跡地になる。いずれも荒地からの再開発になったため、大規模な土木工事が必要になり、「瀬戸内Kirei」の工期は約4年、「作東メガソーラー」は3年近くかかっている。

「蓄電池併設型」が続々完成

 さらに、2020年になると、北海道内に蓄電池を併設したメガソーラーが完成し始め、ランキングの上位に入ってきた。

 北海道は、メガソーラーに向いた平坦な未利用地が多い半面、電力系統の規模が小さく、2013年に「苫東安平ソーラーパーク」が着工した時点で、すでに大規模な太陽光の系統連系が難しくなっていた。そこで、北海道電力は2015年4月に「太陽光発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件」を出し、蓄電池を併設して出力変動を一定の範囲内に制御することを条件に高圧や特別高圧に連系する大規模な太陽光の接続を再開した。

 2020年2月に稼働した「すずらん釧路町太陽光発電所」(92MW)、7月に運開した「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク 2」(64.6MW)はいずれもこの技術要件に適合した。さらに10月には、蓄電池併設太陽光では国内最大となる「ソフトバンク八雲ソーラーパーク」(102.3MW)が稼働している(図6)。

図6●蓄電池を併設した「ソフトバンク八雲ソーラーパーク」
(出所:SBエナジー)
クリックすると拡大した画像が開きます

 今後を見通すと、「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」の257.7MWを超える可能性があるプロジェクトも計画されている。長崎県五島列島の宇久島(佐世保市)で計画されているプロジェクトで、設備認定上の連系出力は400MW、太陽光パネルの設置出力は約480MWに達する。この案件は、すでに着工しており、当初の買取価格を維持しているだけに事業化される可能性が高く、そうなると群を抜く国内最大メガソーラーになる。

 また、山形県飯豊町には連系出力200MW、太陽光パネルの出力が247MWに達する案件が認定されており、これが将来、稼働に至れば、「作東メガソーラー発電所」は下回るものの、「瀬戸内Kirei」の235MWを超えることになる。ただ、飯豊町でのメガソーラー計画に関しては地元自治体が反対を表明しているうえ、現時点で本格的に着工した様子がないだけに、経産省による未稼働案件の措置により、買取価格が下がった場合、計画が継続されるのか、注目される。

ゴルフ場跡地は30~40MW

 また、ランキングの20~40位を見ると、ゴルフ場跡地や開発途中に頓挫していた未利用を活用したプロジェクトが多く入ってくる。ゴルフ場の跡地をメガソーラーに転用した場合、太陽光パネルの設置エリアは、18ホールのフェアウエイが中心になるため、一般的に、30~40MWになるケースが多い。

 大規模な太陽光発電所は、こうしたリゾート開発系の跡地を利用する場合がほとんどだが、レノバが岩手県軽米町で開発した「軽米東ソーラー発電所」(80.8MW)と「軽米西ソーラー発電所」(48MW)は、こうした開発跡地ではなく、森林を林地開発許可制度に従って大規模に開発したプロジェクトになる(図7)。

図7●「軽米東ソーラー発電所」と「軽米西ソーラー発電所」
(出所:レノバ)
クリックすると拡大した画像が開きます

 同社は、農山漁村再生可能エネルギー法を活用することで、開発段階から自治体と密接に連携しつつ、稼働後も売電収入の一定割合を町に還元する仕組みを構築することで、大規模な森林開発と地域との共生を実現している(図8)。

図8●パネル出力による稼働済み国内メガソーラーランキング・21~40位(2020年11月現在)
(出所:日経BP・メガソーラービジネス編集部調べ、 「-」 は情報なし、1~20位は最初のページに掲載)
クリックすると拡大した画像が開きます