メガソーラーはFIT最後の年
2021年度は、太陽光業界にとって、2022年度のフィード・イン・プレミアム(FIP)開始を控え、1MW以上の大規模案件では固定価格買取制度(FIT)を利用できる最後の年となる。FIPは買取価格が市場に連動し、売電先を見つけて発電量を予測する義務が発電事業者に課されるなど、FITに比べて高度なノウハウが求められる。加えて、国内でFIPスキームによるプロジェクトファイナンスを組成できるか、不透明な状況だ。
メガクラスの太陽光発電所で、FITベースのプロジェクトを開発できる最後のチャンスとして、「駆け込み」によって認定容量が膨らむことが予想される。
一方で、脱FITの動きも顕在化しそうだ。2021年度の入札では、駆け込みでの入札参加者が増えることから、9円台/kWhでの落札も予想される。20年間、買取価格が固定されるとはいえ、10円前後/kWhでのプロジェクトファイナンスの組成も簡単ではない。太陽光デベロッパーは、最後のFITプロジェクトに取り組みつつ、FITを使わない、オフサイト型PPA(電力購入契約)スキームなどを模索することになりそうだ。
入札・上限価格は11円台に
2020年が押し詰まった12月25日、FITによる太陽光の今年度下期入札の落札結果が公表された。非公開だった上限価格は11.50円/kWhに設定していたことが明かされた。2012年度にスタートしたFITは、8年目で買取価格40円/kWh(税抜き・10kW以上)から事実上、11円台まで低下した。最低落札価格は10.48円/kWhを付けた。
2020年度下期の入札における上限価格が11.50円/kWhとなったことは、ある程度、予想できた。というのは、昨年11月に開かれた調達価格等算定委員会での議論を踏まえると、今後の事業用太陽光の買取価格は、2021年度・11円/kWh、2022年度・10円/kWh程度に下がることが予想されるからだ。
そう予想できるのは、同委員会の議論で「太陽光発電のコスト目標(2023~24年度頃に8~9円/kWh)の達成に向けた道筋が見えるかたちで、買取価格を設定する」との方向性が示されており、それに従えば、2021年度・11円/kWh、2022年度・10円/kWhを経て、2023年度・9円/kWhにつなげる下落カーブが容易に推察できる。
つまり、2021年度の事業用太陽光(全量売電)は、「50kW以上250kW未満」の買取価格が11円/kWh、入札となる「250kW以上」の上限価格が上期・11円/kWh、下期10.50円/kWh程度になる可能性が高い(図1)。