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「日本の提案で“デジタルパワープラント”へ」、タイの石炭グループの太陽光(page 4)

メガソーラービジネス・インタビュー

2021/01/27 11:38
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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――アジアを中心に広い地域で展開している企業グループならではのO&M(運用・保守)の手法などはありますか。

 グループ全体で、クラウドコンピューティングを活用した「デジタルパワープラント」と呼んでいる統合型のシステムを導入する予定です。2021年中に導入がはじまります。

 グループ全体のデジタル化による経営革新の一環ですが、この「デジタルパワープラント」は、日本法人の提案によるものです。

 発電所の開発企業が異なると、O&Mに使うICTのシステムも異なる場合がほとんどです。別々のシステムで運用されているので、まとめて効率的に管理するには、統合したデータを作成することが必要で、その手間によって作業の負担が増します。

 こうした日々の労力を効率化したいという思いが起点になり、日本から提案しました。拡張性のあるシステムなので、今後、新たに必要になってくる項目に対しても、グループ全体で発電所のシステムを統合したまま、新たな機能を比較的容易に追加できると期待しています。

――地域との連携に積極的に取り組んでいるとのことですが、具体的にどんなケースがありますが。

 むかわ町と会津若松市の例を挙げたいと思います。

 むかわ町は、2018年の北海道胆振東部地震で大きな被害を受けた地域の1つです。バンプージャパンのメガソーラーは、稼働して間もなく地震に見舞われました。

 メガソーラー内では、昇圧変圧器が壊れるなどの被害はありましたが、約2カ月で復旧できました。

 町全体では、とても大きな被害を受けました。そこで、近隣地域の住民を支えようと、すぐに食料や「太陽光充電スタンド」を4台寄付しました(図4関連ニュース)。

図4●北海道むかわ町に寄付した太陽光充電スタンド
図4●北海道むかわ町に寄付した太陽光充電スタンド
(出所:バンプージャパン)
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 会津若松市にある「ナリ会津」のメガソーラーは、連系出力が20MWと、会津若松市における最大規模の太陽光発電所です。同市と防災協定を締結し、メガソーラーの太陽光発電電力を非常時に活用できるようにしています(関連ニュース)。再エネ電力をベースにした地方自治体との防災協定は、国内で初めてということでした。

 メガソーラーに設置した非常用電源を活用します(図5)。メガソーラーの発電電力の入力先を非常用に自立運転機能のあるPCSに切り替えると、この非常用電源を使えるようになります。100Vの電源で充電できます。

図5●福島県会津若松市のメガソーラーの非常用電源
図5●福島県会津若松市のメガソーラーの非常用電源
(出所:バンプージャパン)
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 会津若松市との協定による取り組みでは、会津大学内にあるスマートシティ推進施設「スマートシティAiCT(アイクト)」(図6)に入居し、同市内や福島県内における再エネ電力の地産地消や再エネ電力を活用したモビリティーの活用を推進していく、という取り組みにも着手しています。

図6●福島県会津若松市のスマートシティ推進施設
図6●福島県会津若松市のスマートシティ推進施設
(出所:バンプージャパン)
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 AiCTには、アクセンチュアやマイクロソフト、ソフトバンク、コカ・コーラボトラーズ、オリックス自動車など、さまざまな分野の大手企業が入居し、実証実験などを幅広く進めています。そのような環境の中で、さまざまな相乗効果が生まれてくることにも期待しています。

 すでにその効果が出てきています。

 地元の自動車関連の企業から、いわゆる第三者所有方式によるオンサイト型PPA(電力購入契約)の太陽光案件を受託しました。

 この自動車関連企業の工場の屋根上に太陽光パネルを設置し、さらに、駐車場にはカーポート型太陽光発電システムも設置します。出力は約800kWで、設備の所有はバンプージャパンで、発電電力は工場で自家消費します。

 この工場では今後、蓄電システムを追加する構想もあります。最初は需要ピーク時の系統電力の購入量を減らすピークカットに使われる予定ですが、その後、証書なども活用し、最終的には再エネ100%を目指す計画です。

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