「2040年目標」の策定を
ーー国内では、エネルギー供給構造高度化法の「ゼロエミッション比率」の元になる数値として、来年度から次期エネルギー基本計画の見直し議論が本格化し、そのなかで「2030年のエネルギーミックス(あるべき電源構成)」が決まります。すでに、こうした政策議論に先駆け、次のミックス目標は「再エネ比率30数%」という読み筋が出始めています。
柴山 自民党再エネ議連では、3年前にまとめた提言で「非化石電源比率44%の大半を再エネで賄う必要がある」という表現を使い、次期エネルギー基本計画での再エネ比率は30%以上が議論のスタートラインになる、と発言してきました。
しかし、菅首相の「2050年カーボンニュートラル」宣言を受け、もう1歩踏み込んだ上乗せが必要との考えになりました。非化石電源比率の目標を50%以上に高めるとともに、はっきりとした再エネ比率目標として「45%以上」と明記することにしました。
すでに国内でも、「再エネ比率40%」を超える目標を掲げるべきという動きは出始めています。例えば、小泉環境大臣は昨年12月15日に「脱炭素政策パッケージ」を発表し、そのなかで、「2030年・再エネ比率40%超」を目指すと表明しました。
また、それに先駆け、経済同友会では、昨年7月に「2030年再生可能エネルギーの電源構成比率を40%へ」と題した提言を公表しました。経済界から、こうした思い切った再エネの大量導入を求める声が出始めていることは注目に値します。
こうして見ると、40%台の再エネ比率を目指すことは、もはや国内においても、唐突なことではないといえるでしょう。
ーー2030年に「再エネ比率45%」を達成したとして、2050年までに「カーボンニュートラル」を実現するには、さらに2倍以上にする必要があります。エネルギーの専門家の中には、そんなことは非現実的で、経済性と両立できないという指摘もあります。
柴山 再エネ議連としても、「カーボンニュートラル」の実現は並大抵のことではなく、極めて野心的な目標だと考えています。そうであるからこそ、われわれは2030年目標と並行して、「2040年目標」を設定すべきだと主張しています。2030年は、エネルギーインフラの思い切った改革を議論するにはやや近すぎますし、2050年は遠すぎます。
「2050年カーボンニュートラル」からバックキャスティングの手法で2040年の目標を設定することで、2050年に向けた工程表として今後すべきことがより明確になります。再エネ議連でも、「2040年目標」の具体的な内容について、これから議論していく予定です。
