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「2030年の再エネ比率目標は45%以上に」、自民党再エネ議連・柴山会長

メガソーラービジネス・インタビュー

2021/02/03 21:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

自由民主党の「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」(会長・柴山昌彦衆議院議員)は、昨年末に「2030年に再生可能エネルギーの電源構成比率を45%以上に高める」などの内容を盛り込んだ提言をまとめた。現行の第5次エネルギー基本計画では、2030年の「エネルギーミックス」(あるべき電源構成)における再エネ比率は「22~24%」となっており、今回の提言では、その2倍の上乗せを求めたことになる。同連盟の柴山会長に、次のエネルギーミックス策定を前に、「再エネ比率45%以上」の提言に至った背景などを聞いた。

「ゼロエミ電源」を50%以上に

ーー自民党再エネ議連では、年末にまとめた「カーボンニュートラル実現に係るエネルギー基本計画見直しに向けた緊急提言」に「再エネ比率45%以上」を盛り込みました。

自由民主党・再エネ普及拡大議員連盟の柴山昌彦会長・衆議院議員
自由民主党・再エネ普及拡大議員連盟の柴山昌彦会長・衆議院議員
(撮影:清水真帆呂)

柴山 菅首相は昨年10月26日の所信表明演説で、2050年までに我が国の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラルの実現」を宣言しました。こうした挑戦的な目標を達成するには、現在のエネルギー供給構造高度化法で定める「2030年の非化石電源比率44%」では不十分で、これを「50%以上」とする必要があると考えます。

 非化石電源(ゼロエミッション電源)は、再生可能エネルギーと原子力発電の合計になりますが、最近の厳しい判決が示すように原発の再稼働を進めるのは簡単ではなく、多くを当てにできません。そうなると、「非化石電源50%以上」を実現するには、その大半を再エネで賄う必要があります。「再エネ比率45%以上」にはこうした思いがあります。

ーーこれまで経済産業省は、現在の「再エネ比率22~24%」という目標でさえ、その達成が見通せないなか、さらなる上乗せは時期尚早、との立場でした。それをいきなり2倍にするというのは、現実的でないという声も出てきそうです。

柴山 視野を世界に広げると、「再エネ比率45%」という目標は、決して非常識なものではありません。国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「1.5℃特別報告」によれば、気温上昇を1.5℃以内に抑えるためには、世界の電源構成における2030年の再エネ比率を42~53%にする必要があるとしています。また、IEA(国際エネルギー機関)の持続可能な開発シナリオでも、2030年の再エネ比率は52%となっています。

 日本以外の先進国などでは、これら国際的な知見に整合する形で意欲的な再エネ導入目標を設定しています。日本が現在、掲げている目標である「22~24%」が、いかに世界とかけ離れた水準か、認識すべきです。

「2040年目標」の策定を

ーー国内では、エネルギー供給構造高度化法の「ゼロエミッション比率」の元になる数値として、来年度から次期エネルギー基本計画の見直し議論が本格化し、そのなかで「2030年のエネルギーミックス(あるべき電源構成)」が決まります。すでに、こうした政策議論に先駆け、次のミックス目標は「再エネ比率30数%」という読み筋が出始めています。

柴山 自民党再エネ議連では、3年前にまとめた提言で「非化石電源比率44%の大半を再エネで賄う必要がある」という表現を使い、次期エネルギー基本計画での再エネ比率は30%以上が議論のスタートラインになる、と発言してきました。

 しかし、菅首相の「2050年カーボンニュートラル」宣言を受け、もう1歩踏み込んだ上乗せが必要との考えになりました。非化石電源比率の目標を50%以上に高めるとともに、はっきりとした再エネ比率目標として「45%以上」と明記することにしました。

 すでに国内でも、「再エネ比率40%」を超える目標を掲げるべきという動きは出始めています。例えば、小泉環境大臣は昨年12月15日に「脱炭素政策パッケージ」を発表し、そのなかで、「2030年・再エネ比率40%超」を目指すと表明しました。

 また、それに先駆け、経済同友会では、昨年7月に「2030年再生可能エネルギーの電源構成比率を40%へ」と題した提言を公表しました。経済界から、こうした思い切った再エネの大量導入を求める声が出始めていることは注目に値します。

 こうして見ると、40%台の再エネ比率を目指すことは、もはや国内においても、唐突なことではないといえるでしょう。

ーー2030年に「再エネ比率45%」を達成したとして、2050年までに「カーボンニュートラル」を実現するには、さらに2倍以上にする必要があります。エネルギーの専門家の中には、そんなことは非現実的で、経済性と両立できないという指摘もあります。

柴山 再エネ議連としても、「カーボンニュートラル」の実現は並大抵のことではなく、極めて野心的な目標だと考えています。そうであるからこそ、われわれは2030年目標と並行して、「2040年目標」を設定すべきだと主張しています。2030年は、エネルギーインフラの思い切った改革を議論するにはやや近すぎますし、2050年は遠すぎます。

 「2050年カーボンニュートラル」からバックキャスティングの手法で2040年の目標を設定することで、2050年に向けた工程表として今後すべきことがより明確になります。再エネ議連でも、「2040年目標」の具体的な内容について、これから議論していく予定です。

自由民主党・再エネ普及拡大議員連盟の柴山昌彦会長・衆議院議員
自由民主党・再エネ普及拡大議員連盟の柴山昌彦会長・衆議院議員
(撮影:清水真帆呂)

再エネ設備の「国産化率」向上を

ーー仮に2040年の再エネ比率として70~80%という数値を掲げた場合、国内でそれほどの再エネを経済的に開発できるのか、という疑問にめどを示す必要があります。

自由民主党・再エネ普及拡大議員連盟の柴山昌彦会長・衆議院議員
自由民主党・再エネ普及拡大議員連盟の柴山昌彦会長・衆議院議員
(撮影:清水真帆呂)

柴山 まず、国内における再エネの導入ポテンシャルについては、十分な量があります。環境省が2019年に出した報告書によれば、洋上風力だけで、国内総発電量の4倍以上の導入ポテンシャルが存在します。政府は洋上風力の開発規模を2030年までに10GW、2040年までに最大45GWと表明していますが、この目標達成は不可能ではないと思います。

 すでに海洋における再エネ整備のための新法が施行され、東北や九州、北海道、千葉などの沖合で案件形成に向けた調整が進んでおり、洋上風力の大量導入に向けて筋道が付いた状況です。

 浮体式洋上については、着床式比べるとさらに技術開発の要素が多く残っていますが、国内企業の知見を結集していけば、採算性の課題を克服できると期待しています。

 さらに2050年まで見通せば、リードタイムの長い地熱発電も有望ですし、もちろんバイオマス発電も地域産業と連携した地産地消の観点から重要な電源になります。

 固定価格買取制度(FIT)によって導入が促進された太陽光発電は、すでに低コスト化が進んでおり、今後もさらに増やしていくべきと考えます。日本における再エネ導入は、太陽光と風力が主体になっていくことは間違いなく、これら2つが補完する形が理想です。

 屋根上太陽光は、ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビルディング)やZEH(ネット・ゼロエネルギー・住宅)など、省エネ技術とともにさらに推進すべきですし、野立て型太陽光については、荒廃農地の積極的な活用や、ソーラーシェアリング(営農型太陽光)という形態で、まだまだ開発余地が大きいと思います。

 ただ、太陽光について言えば、今後は、いかに発電設備の国産化を進めるかが、産業政策ばかりでなく、安全保障の視点からも重要な課題に思います。太陽光パネルは現在、中国製のシェアが国内外で高いですが、かつては日本のお家芸でした。ペロブスカイト型など次世代型の製品化を日本企業が主導することで、巻き返すことを期待しています。

 これは、今後、急増する洋上風力にも言えます。世界的に市場が拡大し、開発競争が激しくなる分野でもあり、日本企業の技術力を生かして国産化率を高めることで国内産業への裾野を広げ、世界市場でも活躍できるような展開を政策的に後押しすべきです。

 例えば、カーボンニュートラルに寄与する生産設備ヘの投資促進税制や、脱炭素効果の高い製品の生産設備には税額控除や特別償却などの措置を行うなど、国内で企業が脱炭素製品を生産するインセンティブを用意することも検討課題です。

「ブルー水素」より「グリーン水素」

ーー太陽光・風力という変動性再エネが主体になる日本では、再エネ比率7割から8割まで大量に導入された場合、いかに安定的に系統を運用するかが大きな課題です。

柴山 まさに、その点も、カーボンニュートラル実現に向けた壁の1つで、相当な技術革新が必要になります。エネルギーの安定供給と経済性をいかに両立させるか、産業分野と運輸、そして家庭部門を含めた、あらゆる分野で改革を推し進める必要があります。

 1つ言えることは、変動性再エネの増加に伴い、蓄電池や揚水発電など、エネルギーを貯め、バックアップ電源となる仕組みが重要になります。水力発電は、防災機能や治水など国土強靭化という視点からも有用で、新増設も検討すべきです。それでも、調整電源として火力発電をある程度、残すならば、CCS(CO2 の回収・固定)が必要になります。

 余剰電力を水素に変えて貯めるというシステムも、こうした方向性の中で有望な選択肢になるでしょう。ただ、水素利用に関しては、化石燃料のCCSによって海外で製造した「ブルー水素」を輸入して国内の火力発電で活用するという構想も聞きますが、国内の高い再エネ導入ポテンシャルを考えれば、こうした外部性の高い水素よりも国内の再エネによる「グリーン水素」に投資すべきことは明らかに思います。

 カーボンニュートラルの実現には、現時点で実用化されていない革新的な技術も必要になりますが、「ブルー水素」のような「技術的実現可能性」に留まる技術より、すでに実用化されているもののコストが高い「経済的実現可能性」を伴う技術に対して優先度を高くし、積極的な税制優遇措置や支援制度を設けるべきです(関連記事:「再エネ比率40%目標で民間投資の促進を」、経済同友会・副代表幹事石村氏に聞く)。

自由民主党・再エネ普及拡大議員連盟の柴山昌彦会長・衆議院議員
自由民主党・再エネ普及拡大議員連盟の柴山昌彦会長・衆議院議員
(撮影:清水真帆呂)