
固定価格買取制度(FIT)が始まって以降、太陽光パネルの国内での設置枚数は急増した。こうした中で、今後、大量に発生することになる使用済みパネルを回収して適正に処理できるかも問われている。さまざまなガラス関連製品の適正処理・リサイクル(材料の再利用)に関わってきた、ガラス再資源化協議会(東京都港区)の加藤聡代表幹事に、最新の動向などについて聞いた。
――前回(2018年12月に掲載)は、災害で壊れた太陽光パネルが野ざらしにされたり、不適切な方法で処理されたりする状況について、総務省から勧告を受けつつも、回収や処理の仕組み、技術が確立されていない中で、太陽光パネルの回収・リサイクルのあるべき姿や課題について伺いました。自動車や家電のように法律に基づいてきちんと回収され、ある程度きれいに分離して材料として再利用されるのが理想ですが、太陽光パネルもそうした形になっていくのでしょうか。
太陽光パネルは、アルミニウム製フレームとカバーガラス、バックシートなどの樹脂が強固に結合している製品で、現時点では、材料ごとに「きれいに剝がすように分離」するのは、さすがにまだ遠い状況です。ただ、着実に進歩はしています。
技術面では、より高い精度で材料を分離できる装置を、環境・リサイクル機械メーカーであるタイガーグループのチヨダマシナリー(埼玉県北葛飾郡杉戸町)が開発・製品化しました(図1)。
「PVリサイクルハンマー」という製品で、その名の通り、叩いて粉砕した状態から、高い精度でアルミとガラス、樹脂を分離する機械です。
また、使用済みの太陽光パネルの適正処理・リサイクル網の充実にも、引き続き取り組んでいます。ガラス再資源化協議会では、会員企業や関係の深い企業・団体に働き掛け、太陽光発電協会(JPEA)がまとめた「使用済みパネルの適正処理が可能な産業廃棄物中間処理会社」に加わってもらっています。
ここでは、例えば、ハリタ金属(富山県高岡市)のような、被災して損壊して泥などにまみれてしまい、本来は材料ごとの分離が難しい状態でも対応できるような大手が加わっています。
ハリタ金属は、新幹線の車両のリサイクルにも関わっている企業です。同社のような企業が太陽光パネルのリサイクルにも手を挙げていることは、国内のパネルのリサイクルにとって、利点となるでしょう。