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五島で潮流発電、九電みらいエナジーが500kW機で実証

MW級での事業化を視野、引き潮のみの発電で実証機のコスト削減

2021/03/24 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 長崎県五島市の奈留瀬戸において今年1月、出力500kWの潮流発電設備が海底に設置され、発電を開始した。環境省の「潮流発電技術実用化推進事業」の一環で、九電みらいエナジーなどが設置した(図1)。

図1●奈留瀬戸の海底への設置時の様子
(出所:九電みらいエナジー)
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 これまでの潮流発電の取り組みは、出力が数十kWなど、小型の発電機を使ったものに限られ、500kWという大型の発電機を使う取り組みは、国内で初めてという。

 この発電設備を使って、出力特性や耐久性、発電量などを検証した。

 国内の再生可能エネルギーで現在、主力となっている太陽光発電には、立地制約という課題がある。その中で、海に囲まれ、発電に向く速い潮流に恵まれていることから、潮流発電の潜在的な開発可能性が期待される。日本の海域に適しつつ、周辺環境への影響も小さい潮流発電システムや技術の確立が待たれる。

 潮流発電は以前、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実用化推進事業を実施し、川崎重工業などが受託して進めていた。しかし、同社が撤退した。

 その後、環境省が引き継ぐように実用化推進プロジェクトを立ち上げ、九電みらいエナジーが同省の期待に応える形で取り組んできた。実際には、九電みらいエナジー単独ではなく、同社と特定非営利法人・長崎海洋産業クラスター形成推進協議会によるコンソーシアムで環境省から受託している。

 今回、出力500kWの発電設備を設置した「奈留瀬戸」は、国が海洋再生可能エネルギーの実証フィールドに選定し、川崎重工業が手掛けていた時代から実験設備を据え付ける予定の海域だった。奈留島と久賀島との間に位置する。

 潮流発電には、一般的に1m/s以上の流速が必要とされる(図2)。これに対して奈留瀬戸では、最大で3m/sもの流速が得られる利点がある。

図2●潮流発電の仕組み
潮の運動エネルギーを使い、ブレードを回して発電する(出所:九電みらいエナジー)
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