メガソーラービジネス

「メガソーラーランキング・事業認定編」、100MW超は10案件、国内最大・480MWの宇久島は?

大規模案件で連系出力の縮小、パネル出力の変更が相次ぐ

2021/05/16 05:23
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 経済産業省は、固定価格買取制度(FIT)に基づく事業計画の認定情報を公開している。この認定情報では、太陽光パネルの出力とパワーコンディショナー(PCS)の出力である連系出力(表中は発電出力)の両方を公表しているが、今回の記事では、連系出力3MW以上のメガソーラー(大規模太陽光発電所)に関する状況をまとめ、ランキングも連系出力を基準にした。

 一般的に、連系出力2MW以上が特別高圧送電線に接続する案件とされるが、実際には電力会社側の条件や工夫などによって、2MW台の案件でも高圧配電線に接続されている場合が多い。そこで、今回は3MW以上の認定情報を集計した。

 現時点で2021年1月31日時点の情報が公開されており、それを元に分析・集計した。同日時点で、認定を受けている、または、設備認定から事業計画認定への制度変更に伴う移行手続きが完了した再エネ発電設備が対象となっている。ただし、紙ベースでの申請や変更・廃止の届出については、2020年12月31日時点の情報となっている。

 認定の申請中、または、新制度への移行手続きが完了していない再エネ発電設備については、公表の対象となっていない。今後、定期的に情報を更新し、新たに手続きが完了した発電設備についても、追加して公表していくとしている。

 買取期間の終了後を見据えた「撤去費用」の積み立て状況も公開している。「運転開始前」のほか、稼働済みの場合は、「-」(稼働済みで状況が不明)、「0~20%」(積み立て状況を報告している場合)、「開示不同意」などに分類されている。

 1月31日時点で、認定を受けている、または、新制度への移行手続きが完了した太陽光発電設備のうち、連系出力3MW以上の特高案件は1133カ所あった。前回、掲載した2019年10月31日時点のデータの1126カ所に比べ7カ所増えた。

 増えた案件のうち3カ所は、新たに認定された。群馬県高山村の案件(連系出力29.37MW、太陽光パネル出力約45.09MW)、福島県いわき市の案件(連系出力21MW、パネル出力約31.51MW)、香川県三木町の案件(連系出力6MW、パネル出力約7.84MW)で、いずれも2020年3~12月に認定された。

 また、以前に認定されていながら、前回掲載した2019年10月31日時点のデータには記載されていなかった12カ所が今回、追加されている。認定の時期は2013年2月~2015年3月と古いことから、申請やデータ集計上の何らかの理由で前回の時点では掲載されていなかったとみられる。

●新規の認定案件(上)、前回は未掲載だった認定済み案件(下)
●新規の認定案件(上)、前回は未掲載だった認定済み案件(下)
表の左外の数値は連系出力の規模順の順位(出所:経産省の資料を基に日経BP「メガソーラービジネス」が作成)
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 一方、前回の掲載時のデータには記載されていながら、今回のデータには記載されていない案件が10カ所ある。

 長野県佐久穂町の2案件(連系出力29.976MW、パネル出力約36.79MW=以下同)(20MW、約24.58MW)、兵庫県姫路市砥堀の案件(28.5MW、約36.74MW)が2カ所、静岡県富士宮市粟倉の案件(20MW、約20.84MW)、宮城県丸森町梅木平の案件(16.5MW、約21.06MW)、東京都で唯一の特高案件だった青梅市今井の案件(15MW、約18.51MW)、岩手県遠野市松崎町の案件(13MW、約13MW)、水上型とみられる香川県さぬき市寒川町の案件(12.26MW、約15.26MW)、愛媛県西予市野村町の案件(10MW、約12.20MW)である。

●今回、記載されていなかった案件
●今回、記載されていなかった案件
(出所:経産省の資料を基に日経BP「メガソーラービジネス」が作成)
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 これらのプロジェクトが今回、記載されていない理由は、2つに分かれるとみられる。1つは事業化を断念して認定をとり下げたため、もう1つは申請やデータ集計上の何らかの理由である。

 経産省は、未稼働案件への対応として、2017年4月の改正FIT法に続き、2018年12月に「未稼働案件への措置」を公表した。同措置では、系統連系工事着工申し込みの受領期限を2MW以上の特高案件で2019年9月30日とし、これに間に合わない場合、買取価格が約半額に切り下げられる。同省は2020年10月、同措置によって買取価格が下がった案件は2.08GWで、さらに増える可能性があるとした。

 今回の認定ランキングのなかにも、この措置によって買取価格が半額になった案件が含まれる可能性があり、その場合、事業計画の大幅な見直しを迫られ、事業化を断念するケースが出てくると見られる。

 また、未稼働案件のなかには、地域で反対運動が起き、自治体や住民が裁判に訴えたり、条例によって厳しい姿勢を示している場合も増えている。

 例えば、長野県諏訪市四賀の案件(連系出力75MW、パネル出力約108MW)は、今回の認定ランキングに載っているものの、開発事業者のLooopは2020年6月に長野県に事業廃止を通知している。このプロジェクトは、条例による環境影響評価の手続きを進めていたが、地域住民からの反対が根強く、県による環境影響評価会議でも厳しい指摘が多かった。

 今回、記載された案件を、出力規模の大きさ順にみると、連系出力100MWを超えるメガソーラーは限られている。前回と同じ10カ所にとどまっている。

 トップは、引き続き、長崎県五島列島の宇久島(佐世保市)で計画されているプロジェクトで、連系出力は400MW、太陽光パネルの出力は約479.2MWとなっている(関連ニュース:宇久島の480MW、営農型は「1~2割」に、パワコンはTMEICなど検討)。

 EPC(設計・調達・施工)は九電工が担当し、太陽光パネルは京セラ製を採用した。パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製、ドイツのSMAソーラーテクノロジー製の採用を検討している。

 現状では、工事に遅れが生じている。

 2020年中に作業員用の本格的な宿舎を建設する計画だったが、この宿舎の建設予定地の使用許可取り消しを一部の住民が佐世保市に求めたことなどが影響し、着工できていない。

 九電工によると、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、島外に在住している関係者の多くが宇久島に入ることを控えており、この宿舎の着工には至っていない」としている。

 しかし、「売電開始時期については、計画通りに間に合うように施工を進めていく」としている。施工期間は4年間程度と予想され、2023年度に売電を開始する計画とみられる。

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●宇久島(上)の太陽光パネル設置候補地の1つ(下)
●宇久島(上)の太陽光パネル設置候補地の1つ(下)
下は2019年7月に撮影(出所:上は京セラ、下は日経BP)
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 このほかの100MWを超える特高メガソーラーの動きでは、岡山県美作市作東の案件(連系出力150MW、パネル出力約257.7MW)が稼働した(関連コラム)。

 パシフィコ・エナジーの開発案件で、EPCサービスは日揮が担当し、太陽光パネルは中国のトリナ・ソーラー製の両面ガラスタイプ、PCSはTMEIC製を採用した。

 パシフィコ・エナジーは、和歌山県上富田町に連系出力92.4MWの案件も2020年に着工した。太陽光パネルの出力は約140.0MWから約111.1MWに縮小している(関連ニュース)。

 ここではEPCサービスはシャープエネルギーソリューションが担当し、太陽光パネルは中国のJAソーラー製、PCSはTMEIC製を採用した。

 宮城県白石市の案件(連系出力約135MW、パネル出力約189MW)も2020年末に着工した。シンガポールのヴィーナ・エナジー系の事業で、スペインのエクセリオから開発中の案件を買い取って事業化した。この案件は当初、一時転用によるソーラーシェアリング(営農型太陽光)で計画を進めていたが、最終的に農地転用が可能になり、営農は行わないことになった(関連ニュース)。

 宮城県大崎市鳴子温泉のプロジェクトは、連系出力を当初の約154.7MWから約133.6MWと約20MW縮小した。太陽光パネルの出力も、当初の約183.5MWから約147.0MWに縮小している。

 タイ系の企業による事業で、2020年3月には、東芝エネルギーシステムズ(川崎市)がEPCサービスの受注を発表した(関連ニュース)。太陽光パネルはトリナ・ソーラー製、PCSは中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)製を採用した。

 この規模のEPCサービスやPCSの供給を的確に実現できる企業は限られ、こうした企業は、巨大プロジェクトの受注を多く受注している。

●出力70MW以上の案件
●出力70MW以上の案件
表の左外の数値は連系出力の規模順の順位(出所:経産省の資料を基に日経BP「メガソーラービジネス」が作成)
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 次に、60MW台から40MW台では、福島市佐原市の案件(連系出力80MW、パネル出力約100MW)について、2021年4月、juwi自然電力(東京都文京区)がEPCサービスを受注したと発表した(関連ニュース)。

 太陽光パネル大手のカナディアン・ソーラー系の事業で、パネルは同社製を採用する。

 福島県郡山市熱海町の案件(連系出力80MW、パネル出力約95MW)は2020年6月、経産省による環境影響評価準備書の書面審議が実施され、国の法令による環境影響評価(アセスメント)の適用例の最初の案件となった(関連ニュース)。

 鹿児島県霧島市霧島の案件(連系出力80MW、パネル出力約94.1MW)も2020年12月、環境影響評価準備書の書面審議が実施された(関連ニュース)。

 三重県度会町の案件(連系出力59.9MW)は、太陽光パネルの出力を当初の約72.0MWから約70.2MWに縮小した。九電工や東京センチュリーなどによるプロジェクトで、EPCは九電工が担当し、太陽光パネルはカナディアン・ソーラー製、PCSはTMEIC製を採用した(関連ニュース)。

 2019年に着工しているが、着工時に2023年3月としていた売電開始時期が、同年6月に遅れる。これは、連系先の中部電力の事情によるとしている。

 北海道釧路町の案件(連系出力59.4MW、パネル出力約92.3MW)では2020年1月、中国ジンコソーラーホールディングが太陽光パネルを供給することを発表した(関連ニュース

 岩手県軽米町の案件(連系出力54.3MW、パネル出力約80.8MW)は2019年末に稼働した(関連コラム)。

 茨城県日立市十王町の案件(連系出力53.99MW、パネル出力約55.6MW)は2021年1月、米国系の太陽光発電開発会社の日本法人であるソネディックス・ジャパンが取得したことを発表した(関連ニュース)。

 群馬県片品村の案件は、連系出力を当初の55MWから50MWに縮小した。太陽光パネルの出力も約65.3MWから約55MWに縮小している。同じように、奈良県山添村の発電所は、連系出力を当初の50MWから42MWに縮小した。しかし、太陽光パネルの出力は約50.051MWでわずかに増やした。

●出力50MW~60MW台の案件
●出力50MW~60MW台の案件
表の左外の数値は連系出力の規模順の順位(出所:経産省の資料を基に日経BP「メガソーラービジネス」が作成)
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 石川県七尾市山崎町の案件(連系出力49MW)は、パネル出力を当初の約63.1MWから約51.1MWに縮小し、2020年秋に着工した(関連ニュース)。シンガポールのヴィーナ・エナジーと九電工による合弁会社が事業主体となっている。

 岡山県赤磐市小原の案件(連系出力45MW)も、パネル出力を当初の約64.4MWから約58.0MWに縮小し、2021年4月に売電を開始した(関連ニュース)。出光興産グループが出資し、太陽光パネルは子会社であるソーラーフロンティア製を採用した。

 宮城県川崎町の案件(連系出力41.36MW、パネル出力約56.04MW)も、2021年2月に売電を開始した(関連ニュース)。ドイツ系のiAccess Energyグループによる事業となっている。

 宮城県松島町初原の案件(連系出力40.032MW、パネル出力約50.41MW)も、2020年冬に売電を開始した(関連ニュース)。日本国土開発が開発・運営している。

 群馬県安中市大谷の案件(連系出力42.84MW、パネル出力約63.2MW)は2020年2月、東京ガスグループが取得したことを発表した(関連ニュース)。

●出力40MW台の案件
●出力40MW台の案件
表の左外の数値は連系出力の規模順の順位(出所:経産省の資料を基に日経BP「メガソーラービジネス」が作成)
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 出力40MW以下の案件は、数が急増するため、前回のデータから規模の変化が大きかった案件のみ取り上げる。

 まず、連系出力が大きく減った案件が21カ所あった。この中には、同じ所在地と出力、認定日の発電所が、前回とは違うIDで記載されている例や、前回とは異なる所在地で記載されている例もあった。

 連系出力が大きく縮小しても、太陽光パネルの出力はほぼ変えていない案件が多い。

 例えば、栃木県佐野市寺久保町の案件は、連系出力が前回の48.96MWから39.99MWに減ったものの、パネル出力は約53.91MWでほぼ変えていない。パシフィコ・エナジーのプロジェクトで、2020年10月に着工を発表した(関連ニュース)。

 東光電気工事と地元の建設会社である広栄電設による、福島県川内村の2カ所の案件も、それぞれ連系出力が前回の20MWから16MWに減ったものの、パネル出力は約19.91MWでほぼ変えていない。2020年7月に売電を開始した(関連ニュース)。

●出力3MW~40MW以下で、連系出力が大幅に縮小した案件
●出力3MW~40MW以下で、連系出力が大幅に縮小した案件
表の左外の数値は連系出力の規模順の順位(出所:経産省の資料を基に日経BP「メガソーラービジネス」が作成)
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 太陽光パネルの出力だけを大きく修正した案件も多い。認定におけるパネル出力の扱いは、制度のスタート当初から二転三転してきた。初期の認定案件が、こうしたルール変更に合わせて修正したとみられる例が多い。

●出力3MW~40MW以下で、太陽光パネルの出力が大幅に縮小した案件
●出力3MW~40MW以下で、太陽光パネルの出力が大幅に縮小した案件
表の左外の数値は連系出力の規模順の順位(出所:経産省の資料を基に日経BP「メガソーラービジネス」が作成)
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