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「2050年脱炭素」で太陽光300G~400GW、電気代は上がる?(page 2)

RITEに加え、WWF、京大がシナリオ分析を公表

2021/06/02 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クルーンテックラボ
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産業部門は吸収源やDACCSで相殺も

 RITEのシナリオが最も太陽光が多くなっているのは、2050年における日本の一次エネルギー供給量全体の想定値の違いが影響している。RITEシナリオは省エネなどにより2015年比約2割減と想定している一方、WWFシナリオでは産業構造の変化などで2015年水準の4分の1近くまで極端に小さく見積もっている。例えば、鉄鋼生産量は2015年比で半減させた上で電炉比率70%、残り3割は水素還元法とした。

 このように、想定するエネルギー需要の大きな違いから、RITEの参考値シナリオ(再エネ5割)とWWFの再エネ100%シナリオでは、太陽光の設備導入規模で見る限り、ほぼ同水準になっている。

 そもそもRITEシナリオとWWFシナリオは、いずれも電化率を現状の2割から4割まで高めることを前提としつつも、2050年カーボンニュートラルへの筋道が大きく異なっている。WWFシナリオでは、電力需要の1.8倍もの電気をすべて国内の再エネで発電し、大量の余剰電力で水素と熱を生み出し、運輸と産業部門のエネルギーをすべて賄う(図4)。

図4●WWFのシナリオでは、国内再エネの大量の余剰電力で運輸・産業部門のエネルギー需要を賄う
図4●WWFのシナリオでは、国内再エネの大量の余剰電力で運輸・産業部門のエネルギー需要を賄う
(出所:WWFジャパン委託研究・2050年脱炭素に向けた100%自然エネルギーシナリオ・システム技術研究所)
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 一方RITEの参考値シナリオでは、電力需要だけでも国内の再エネでは賄えず、国内再エネ5割のほか、残りを原子力とCCS付き火力、国内外で製造した水素・アンモニア発電で賄い、産業・運輸部門などでCCS付きにできないガスや石油利用分は、DACCS(大気からのCO2回収+CCS)などで相殺する(図5)。

図5●RITEシナリオによるカーボンニュートラルのイメージ
図5●RITEシナリオによるカーボンニュートラルのイメージ
(出所:RITE・2050年カーボンニュートラルのシナリオ分析・中間報告)
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 京大シナリオはRITEに近く、最終エネルギー消費量のベースラインを2018年比2割減としている。ただ、発電の電源構成に水素・アンモニア発電を見込まず、CCS付きバイオマス発電を政策的に増やし、植林技術の向上で国内森林によるCO2吸収量を多めに見込む。これにより産業・運輸部門で減らし切れなかったCO2を相殺する。加えて、風力の導入量を多めに見込むこともあり、太陽光の導入規模がほかのシナリオより小さくなっている。

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