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「2050年脱炭素」で太陽光300G~400GW、電気代は上がる?(page 3)

RITEに加え、WWF、京大がシナリオ分析を公表

2021/06/02 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クルーンテックラボ
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電力コストへの影響では両極

 結果的に、再エネの導入量自体では、大幅な違いはないものの、これら3つのシナリオで評価が正反対になっているのが、カーボンニュートラル達成時の電力コストだ。

 RITE・参考値シナリオでは、電力コスト(電力限界費用)は24.9円/kWh、RITE再エネ100%シナリオでは同53.4円/kWhとの結果だった。電気料金ではこれに10円/kWh程度の託送料金が加算されるので、参考値シナリオで30円/kWh超、再エネ100%で60円/kWh超となり、現在の電力料金に比べて2~3倍に跳ね上がるという試算だった。

 これに対して、WWFの再エネ100%シナリオでは、電力価格は2020年の約12円/kWhから2050年に約7.9円/kWhに低下し、政府の長期見通し(2050年再エネ50%)よりも安くなるという。今後、予想される石油と天然ガス価格の値上がりの影響を回避できる利点があるとする(図6)。

図6●WWF・再エネ100%シナリオでの電力価格の予想
図6●WWF・再エネ100%シナリオでの電力価格の予想
(出所:WWFジャパン委託研究・2050年脱炭素に向けた100%自然エネルギーシナリオ・システム技術研究所)
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 京大シナリオの電力コストは、「原発あり」で2050年にベースラインより45%、「原発なし」で55%上昇する。ただ、「エネルギーコストは上昇するが、それを上回る再エネ及び多様な形態の低炭素投資の活性化が需要側面から経済を刺激する一方、化石燃料費用がゼロ水準近くまで減ることで、経済への負荷はベースラインより小さくなる」とし、両シナリオとも「GDPは2050年にベースラインより4%程度プラスになる」としている(図7)。

図7●京大シナリオでの電力コストへの影響分析
図7●京大シナリオでの電力コストへの影響分析
(出所:京都大学大学院経済学研究科・日本の2050年カーボンニュートラル実現がエネルギー構成およびマクロ経済に与える影響分析)
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