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「既存発電所のロス解消だけで300億円超の増収」、オリックスの太陽光向けAM・O&M会社に聞く(page 2)

メガソーラービジネス・インタビュー

2021/06/25 18:30
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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――この変更によって、オリックスのメガソーラーの状況は早期にある程度、改善できたのですか。

 じつは、期待ほどには改善しませんでした。

 それは、発電事業者が机上の想定と現場の状況との乖離を穴埋めすることをO&Mに押し付けたり、発電事業者側があたかも全知全能で、O&M側が手足のように働くことを要求したりするような傾向が変わらなかったためです。

 O&Mサービス企業も、事業としてサービスを提供していますので、こういった関係の中でのリスク回避や収益の確保のために、コスト面などで対抗せざるを得ません(図3)。

図3●発電事業者、AMとO&Mを同じ事業本部内で一体化
図3●発電事業者、AMとO&Mを同じ事業本部内で一体化
(出所:オリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント)
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 この結果を受けて、さらにAMとO&Mを融合し、オリックスの発電事業と同じ事業本部内に入れて、収益まで一体化することにしました。そして設立したのがAMとO&Mを一体で担当する子会社であるOREMです。

 発電事業者であるオリックスには稼働率やPR(パフォーマンスレシオ)値をコミットし、そのための具体的な計画や施策の実行はOREMに一任してもらいます。これによってO&Mは自らの計画や判断で実行できるようになり、予防保全型のO&Mに舵を切ることができました(関連コラム:予防保全を徹底、理想は「変動要因は気象のみ」)。

 これによる効果として、発電事業者側(オリックス)、O&M側(OREM)ともに大きな成果が挙がっています。

 例えば、一般的なメガソーラーの事業計画で想定されている年0.5%減というペースでの売電収入の減少に対して、オリックスの発電所では年1.68%減という著しく悪いペースで減少していた状況です。

 OREMの設立によってAMとO&Mを一体化した効果として、これを年0.5%というペースに戻し、さらに直近の1年間では年0.4%減という事業計画を上回る状態に改善しています(図4)。

図4●発電量の減少は年0.4%に改善
図4●発電量の減少は年0.4%に改善
(出所:オリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント)
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 OREMがAMとO&Mを担当している、オリックスの83カ所・合計出力約430MWの規模になると、これによって20年間で300億円以上の不要な損失を招く見通しでしたので、これを解消できる見通しを立てた効果は大きいのです。

 この成果を生かし、オリックス以外の発電所にも「レベニューシェアリング方式」と呼んでいる成果報酬型のO&Mサービスを提供していきます(図5)。

図5●増加分の一定比率を報酬とし、発電事業者は新たな出費が不要
図5●増加分の一定比率を報酬とし、発電事業者は新たな出費が不要
(出所:オリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント)
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 基本料金と、売電額の増加分の一定比率の成果報酬料金でサービス対価を構成します。発電事業者にとっては、基本料金分の手元からの支払いは従来のO&Mサービス企業への対価と同等に抑えつつ、売電額を大きく増やすことが可能です。

 成果報酬料金分は、売電額の増えた分の中から賄えるので、持ち出しの増加が実質ゼロでサービスが受けられます。成果報酬料金分を相殺した後の残りの売電額の増加効果分は、そのまま増益になります。

 基本契約期間として5年間を想定していますが、この契約期間の後は、発電事業者は他のO&Mサービス事業者も含めて再び検討できます。

 現在、OREMに引き合いがあるオリックス以外のメガソーラーの合計出力は約2GWの規模ですが、これらの発電所の状況を初期調査している段階でも、年1~5%というペースで発電量が減少している例が多く、潜在需要は多くあると感じています。

 このサービスは、発電事業者にとっての利点だけでなく、日本の再エネ活用を拡大するうえでも、新しいメガソーラーをつくるのと同じような効果があります。新規開発なしで、すぐに10MW規模といった発電量の増加が見込めます。

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