特集

動き出した「ノンファーム接続」、出力抑制量の推定がカギに

東大とTMEICが共同で「20年の潮流計算」に取り組む

2021/07/19 05:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
印刷用ページ

募集プロセスから「ノンファーム」に

 「ノンファーム型接続」が動き出した。「ノンファーム(non-firm)」とは「確実でない」の意で、必ず送電できるとは限らないことを条件とした接続。具体的には、送電線の潮流が混雑する時間帯に限り、出力を抑制することを前提に電源を系統連系する接続方法になる。今年1月から基幹系統(上位幹線)を対象に全国的な展開が始まった。

 東京電力パワーグリッド(東電PG)管内では、試行的に先行して導入した千葉・鹿島エリアのほか、9の基幹系統にノンファーム型接続を適用している。すでに試行エリア以外でも、70件・13MWの契約申し込み、57件・2.165GWの接続検討を受け付けている。

 また、東北電力ネットワークは、募集プロセス対象の東北北部エリアには、プロセス完了により、今後はノンファームを前提にした接続に移行すると発表した。同エリアには新規の接続検討申し込みが2021年1月末時点で145件・約9.5GWに達している。これら検討保留案件に対しては、ノンファーム型の適用も含めて、事業の継続意思など確認するという。

 さらに北海道では、道南、道東、苫小牧の3エリアで募集プロセスが開始されていたが、ノンファーム型接続の導入に伴い、募集プロセスよりもノンファームを志向する事業者が大勢となった。このため今年1月に募集プロセスの中止が公表され、ノンファーム型接続に移行して早期の系統連系を目指すことになった。3エリアの接続検討案件は、2020年3月時点で合計2.36GWに達する。

 このようにノンファーム型接続への移行によって、「つなげない」「高い」「遅い」という、再生可能エネルギーの拡大を阻んでいた系統制約問題が解消に向けて動き出した(図1)。

図1●ノンファーム型接続のイメージ
(出所:広域的運営推進機関)
クリックすると拡大した画像が開きます

 しかし、ノンファーム型接続での売電事業には、「系統混雑時の出力抑制が、年間でどの程度の量になるのか、わからない」という課題がある。

 この点、東電PGの岡本浩副社長は、メガソーラービジネスのインタビューで、「ノンファーム型接続での発電事業で重要になる出力抑制量の将来予測は、発電事業者が独自に分析し、事業者自らの判断で、事業リスクを評価することになる。そのために必要な系統に関する設備や潮流の実績などの情報は公開する」としている(関連記事)。

  • 記事ランキング