風車23基に愛称、名付け親は小学生
串間市は宮崎県の南端に位置し、輝く太陽と青い海、緑の山々など、豊かな自然に恵まれる。固定価格買取制度(FIT)の開始を追い風に、市内にはメガソーラー(大規模太陽光発電所)や木質バイオマス発電、小水力発電など、地域の資源を生かした再生可能エネルギー設備の稼働が相次いでいる。
市では、2014年に「再エネによるまちづくり」を掲げたエネルギービジョンを公表。2017年には農山漁村再エネ法に基づいて再エネ促進地域を指定した。地域社会と共存する再エネの導入を積極的に支援しつつ、地域の活性化につなげることを目指している。
2020年10月に営業運転を開始した、九州最大のウインドファーム(大規模風力発電所)「串間風力発電所」もその1つだ。志布志湾を望む山の稜線4.5kmを23基の風車で南北に結ぶように設置した。単機出力2.85MW、合計出力は64.8MWに達する。これまで九州最大の風力発電所は、鹿児島県長島町にある「長島風力発電所」の50.4MWだった(図1)。
FITを利用して買取価格22円/kWhで売電している。年間発電量は、約1億3700万kWhを見込んでおり、これは一般家庭約4.6万世帯の消費電力に相当する。CO2の排出抑制効果は年間約5万tに達する。
悠然と回るブレード(羽根)の全長は50m、発電機を収納したナセルを支えるタワーの高さは85mで、地上からブレードの最高点までは136.5mに達する。風車の立つ尾根からは、緑豊かな山々と志布志湾を見下ろし、その向こうには大隅半島まで一望できる(図2)。
23基の風車には、それぞれに愛称が付けられ、そのネームプレートが併設されている。これは市内の小学生に風車の名前を募集し、名付けられたものだ(図3)。