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風力急増で「系統電圧の変動」顕在化、求められる対策は?(page 2)

九州最大ウインドファームが導入した「SVC」の機能と役割

2021/08/19 22:30
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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「SVC」で系統電圧を安定化

 「串間風力発電所」の事業会社である串間ウインドヒル(串間市)は、九電みらいエナジー(福岡市)と九電工(福岡市)が共同で出資した。米GE(ゼネラル・エレクトリック)製の風力発電設備を導入し、九電工がO&M(運営・保守)サービスを担当する。

 尾根にある風力発電所は、23基の風車と変電設備から構成され、風車と変電設備は22kVの配電線で結んでいる。九州電力送配電の商用系統との連系点は、変電設備から北西約10km離れた場所にあり、架空と地下埋設により66kVの送電線を敷設した。

 「串間風力発電所」には、一般的な風力発電所には見られない大きな建屋がある。メガソーラーの場合、パワーコンディショナー(PCS)を収納した建屋が点在していることもあるが、風力発電所の場合、各風車にPCSと変圧器が搭載されている。串間風力発電所にある建屋には、「SVC(Static Var Compensator:無効電力補償装置)」と呼ばれる装置が収納されている(図4)。

図4●変電所にある建屋内にはSVCが設置されている
図4●変電所にある建屋内にはSVCが設置されている
(出所:日経BP)
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 SVCとは、電力系統を構成する送電線(母線)の電圧を目標値に保つための装置で、今回の場合、風力発電の出力が変動しても、九州電力送配電の商用系統の電力品質が大きく影響されないよう、電圧を安定化させる役割を担っている。再エネ設備では、一般送配電事業者との連系協議の場で導入を求められることがある。

 「串間風力発電所」の受変電設備は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が一括して受注して、システム設計して納入した。SVCについても、出力7500kvarのTMEIC製の装置を導入した。「var」とは「無効電力」の単位だ。交流電力の成分には、有効電力と無効電力があり、前者がモーターを回したり照明を灯したりするなど「仕事をする」のに対し、「無効電力」は実際の仕事をしないものの、「電圧を変える」という性質がある。SVCはその性質を利用し、無効電力を発生して電圧を一定に維持するための装置だ(図5)。

図5●TMEIC製のSVCを導入した
図5●TMEIC製のSVCを導入した
(出所:日経BP)
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 TMEICは、高圧から特別高圧までの受変電設備や太陽光向け大容量PCSの大手メーカーだが、それらで培ったパワーエレクトロニクス技術を生かしたSVCやUPS(無停電電源装置)でもトップクラスのシェアを持っている。

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