再エネ向けシステムを製品化
太陽光や風力発電の大量導入に従って、電力系統全体で電気の供給が需要を上回る恐れが顕在化し、九州電力管内では再エネ設備に対する出力抑制(出力制御)が頻繁に実施されている。交流系統の需給バランスが崩れると、周波数が規定値から外れてしまう。
再エネの増加によって脅かされる電力の品質低下は周波数だけではない。系統の変電所から配電される送電線(母線)に連系する発電所からの出力が大きく変動した場合、その送電線の電圧が変動してしまう。ただ、この場合、SVCというパワーエレクトロニクスの技術により、出力抑制という手段を使わずに、電圧を一定に保つことができる(図6)。
無効電力を発生させて電圧を変動させる装置はほかにもあるが、SVCは、送電線(母線)の電圧変動に追従して連続的に無効電圧を発生することができる。このため風力や太陽光など変動性再エネの連系に伴う電圧変動対策に向いている。
SVC最大手のTMEICによると、ここ数年、一般送配電事業者との連系協議によってSVCの設置を求められる再エネプロジェクトが増え、同社にも風力・太陽光発電の変電設備に併設するSVCの引き合いが多くなっているという。そこで同社では2018年に、再エネ発電所向けのSVCシステムを商品化した。
SVCにはサイリスタ(シリコン制御整流素子)を使う他励式と、インバータ(直流/交流変換装置)を使う自励式があり、前者は大容量化に向くものの、高調波が発生するためそれを抑制するための装置も必要になる。TMEICは両方式を手掛けており、再エネ向けには中小規模の容量が多いことから、自励式を採用し、単機容量625kvar、400Vのインバータを複数台、組み合わせるシステムを提案している。