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「再エネ・環境紛争」を防ぐには? 地域共生のポイント、東工大・錦澤准教授に聞く

メガソーラービジネス・インタビュー

2021/10/07 20:48
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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太陽光発電の大量導入に向けた課題の1つが、地域との共生となっている。開発規模に応じて法や条例による環境影響評価を求められる一方、不適切に山林を切り拓いたことで、土砂が崩れたり流出するといった被害を引き起こしている例もある。太陽光や風力発電所の開発に関わる「環境紛争」の発生やその要因、どのように解決してきたかといった状況に詳しい、東京工業大学 環境・社会理工学院の錦澤滋雄准教授に聞いた。

東京工業大学 環境・社会理工学院の錦澤滋雄准教授
東京工業大学 環境・社会理工学院の錦澤滋雄准教授
(出所:日経BP)

――太陽光発電所は、山林や斜面など、固定価格買取制度(FIT)がはじまる前には想像できなかったような場所にまで開発されるようになりました。これに伴い、地球環境への配慮や地域との共生が問われる状況になっています。

 再生可能エネルギーによる発電は今後、中心となる電源に育って欲しいのですが、一方で、開発時に環境や地域でのトラブルが増えてきている状況があります。

 個々の発電事業をみても、立地や施工の状況に不安を抱かせてしまう案件があったり、環境への配慮や地域へのより丁寧な説明などが必要に見える案件をみかけます。

 こうした発電所が増えてしまうと、「太陽光発電の必要性は認めるけれど、自分が住んでいる地域の近くには建てないで欲しい」という、いわゆる「Not In My Back Yard(我が家の裏には御免=総論賛成各論反対)」になりがちな迷惑施設と認識されてしまいかねません。

 地域に寄り添って開発する姿勢が根付いて、より地域と共生するような太陽光発電所が増えてくると、電源としても地域の施設としても歓迎される設備になると期待しています。

 こうした問題意識から、再エネ設備に関わる環境紛争の発生状況などを調べてきました。団体による組織化された反対運動などの活動や、自治体などへの署名提出といった、個人ではない組織的な活動で、かつ、新聞などで報じられた例を、「環境紛争」と定義して調べました(図1)。

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図1●「環境紛争」の発生状況
図1●「環境紛争」の発生状況
(出所:東京工業大学の錦澤准教授)
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 調査の時点で、風力発電が76件、太陽光発電が74件で環境紛争が生じていることを把握できました。バイオマス発電も8件ありました。

 風力発電の方が早い時期から紛争の事例があり、1990年代からあります。太陽光発電については2011年6月に報じられたのが初めての例で、その後、紛争件数の増加の勢いが増しています。

 太陽光発電は、FITがはじまって以降、全国各地で設備認定が取得されています。この状況から、環境紛争も全国の広い地域で確認されています。

 その中で、比較的多いのが、長野県、三重県、兵庫県です。風光明媚な観光地の近くに太陽光発電所の開発が計画されているといったことが理由にありそうです。三重と兵庫は、風力発電でも環境紛争が比較的多い地域です。

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